2009年01月01日
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映画『劇場版ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂』感想・第3期鬼太郎派の無念は晴らされたか?

Written By: トーノ・ゼロ連絡先

 金も時間もありませんが、とりあえず金の問題は1000円で見られるファーストデイに行くことで解決。ネットで事前に席を確実に確保できる時代だからなせる技。しかし、正月映画のファーストデイ(1日)は元旦という罠もあり (笑)。

 というわけで、映画『劇場版ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂を見てきましたが……。

 途中まで「やけにぬるい典型的なパターン鬼太郎話だな……」と思ってみていましたが、中盤から急にテンションアップです。途中までのぬるさは、この展開を際だたせる周到な計算だったようです。

第3期鬼太郎派の問題 §

 さて。

 この映画の序盤最大の問題は「鏡じじい」が悪役で登場する点です。しかも、制服姿の女子高生をさらいます。

 これは、おそらく第3期鬼太郎派にとっては許容しがたい展開だろうと思います。

 ある意味で、第3期鬼太郎派の拠り所を踏みにじるような行為かもしれません。

 もっと詳しく説明します。

 1980年に放送が開始されたTVアニメ第3期鬼太郎の方向性を決定的に決めたのはおそらく第2話の「鏡じじい」です。

 このエピソードは、妖怪の「鏡じじい」が天童ユメコという少女をさらいます。しかし、最終的に鏡じじいは現代的な女学生が闊歩する道路のショーケースに展示され、彼女らの姿を写すことで(エロ魂を)満足し、天童ユメコは鬼太郎ファミリーのレギュラーに加わります。

 従って、「鏡じじい」とは少女を愛するが故に度を超えた行動に出ることがあっても、少女を傷つける悪の妖怪になってはならない存在です。

 それにも関わらず、この映画の序盤において、「鏡じじい」はまさにその「なってはならない存在」として描かれます。

 そして、「鏡じじい」の存在と表裏一体となるのが、「鏡じじい」が執心する少女の存在です。第3期鬼太郎では天童ユメコであり、本作では風祭華です。風祭華は天童ユメコの再来というよりも、むしり「鏡じじい」が鼻の下を伸ばして見ていた女学生達に近い存在でしょう。であるからこそ、「鏡じじい」が風祭華に害をなすことは、第3期鬼太郎派からは、許し難い暴挙であると認識される可能性があります。

 しかしそれと同時に、風祭華の存在感が強く打ち出された本作は、過剰にネコ娘がヒロインとして強調される第5期鬼太郎に違和感を感じる第3期鬼太郎派にとって、溜飲の下がる印象も与えた可能性があります。第3期鬼太郎派にとってヒロインは天童ユメコであるはずです。

 そのような形で、第3期鬼太郎派に好感を与えつつ、同時に暴挙と感じさせる描写も行います。これが、この映画の前半部分の第3期鬼太郎派的解釈(かもしれないもの)です。

開放された屈折 §

 しかし、後半になるとガラッと状況が変わってきます。

 「鏡じじい」はまさに第3期鬼太郎第2話「鏡じじい」における「鏡じじい」の方向性をいささかも逸脱することはなく、まさに少女を大切にするあまり度を超えた行動に出ただけの妖怪であったことが明らかになります。風祭華の魂まで抜こうとする行為を目の前にすると、そこで「鏡じじい」は抗議し、最終的には鬼太郎の味方になります。

 しかも、ヒロインの祖先にまで遡る思い入れまで示すことで、まさに第3期鬼太郎第2話「鏡じじい」の再来的な存在であることが示されます。

 これはもう泣けましたね。

 まさに、本質的な意味で第3期鬼太郎の再来です。

 今回の映画は、第5期鬼太郎の世界観を全面的に採用した映画でありながら、ストーリーの骨格はまさに第3期鬼太郎第2話「鏡じじい」のパターンそのものです。

しかし風祭華は仲間にならない §

 天童ユメコと違って、風祭華は仲間になりません。最後のシーンで、もはや彼女には妖怪横町への道は閉ざされています。しかし、これは第3期鬼太郎の否定ではないでしょう。この映画は実質的に第3期鬼太郎の世界を最初から最後まで一気に駆け抜け、最終的に妖怪と関わった人間達は妖怪から離れていくのと同じように、天童ユメコ/風祭華もまた妖怪から離れていくという描写なのでしょう。

 まるで一夜の夢。

 だから、この作品は素晴らしい余韻を残すこれ1本となったのでしょう。

監修・京極夏彦の力 §

 おそらく京極夏彦 ゲゲゲの鬼太郎'80を語るのような場面でユメコちゃんを語れる京極夏彦が監修していればこそ、こういう展開はあり得たのでしょう。安易に「墓場」を称えれば濃いオタクになれると錯覚した勘違いの対極に位置すると思います。

作品としての見事さ §

 上映時間の割に中身が詰まっていて、2時間ぐらいあったような気がしました。

 構成も極めて上手く、こなすべきお約束もきっちり入れた上で、本作のヒロインと競合しかねないTVでのレギュラー/ゲストの目立つヒロイン達(ネコ娘や葵)も上手く目立たない場所に描き込んでいます。かといって、さりげなく葵が巨乳をパタパタしている描写など、サービスも忘れていません。

 宿敵のぬらりひょんも、上手く日本から遠ざけられて描かれています。

 作品のもう1本の軸となるネズミ男の愛と友情の描写も見事。この映画は、鬼太郎とネズミ男の2人を両輪としてまわっていたようなものです。

 内容的にも、心を描くドラマとしての見応えもたっぷり。追い詰められるヒロインの心も、母親の心の動きも。

 更に言えば、日本が滅びる結末を意識させる「日本爆裂」も、「回避されて良かったね」でもなければ「閻魔大王さまに戻してもらいました」でもなく、きちんと「日本爆裂」を実行した点も見事。タイトルに偽りはありません。(まさか、こんな方法で日本が爆裂するとは!)

まとめ §

 つまりですね。

 第3期鬼太郎派の私としては、思わぬ不意打ちを食らって泣けてしまったわけです。

 (一部にある「私はネコ娘萌えである」という解釈は全く当たっていません。いやほんとに)

監督・古賀豪 §

 祝!(ハピ☆ラキ)ビックリマンのシリーズディレクターだった古賀豪さんの初監督作品……。道理で、良い味が出ているはずです。ウルフライやネロクイーンをあれだけ描いた経緯があれば、ネズミ男もこれだけ良い味で描けるはずです。

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