2009年10月04日
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都営白鬚東アパート/マンション・皮革産業資料館

Written By: 川俣 晶連絡先

 今日は「まだ行ったことがない場所に行こう」シリーズとして皮革(ひかく)産業資料館に行き、ついでに都営白鬚東アパート/マンションも見てきました。

 けして、tamura38さんが見てきたのを知って羨ましくなって都営白鬚東アパート/マンションを見に行ったのではありません。本当ですってば! (笑)

今日の移動経路 §

 東武伊勢崎線の鐘ヶ淵駅下車。そこから都営白鬚東アパート/マンションが見える鐘ヶ淵陸橋交差点に出てから北上し、18号棟(つまり北端)の建物をまわって都営白鬚東アパート/マンションの東側の公園に出て、そのまま南下して1号棟まで移動。白鬚橋を渡って皮革産業資料館を訪問。その後、南千住駅まで歩いてからつくばエクスプレスに乗車。秋葉原のヨドバシで買い物をしてから帰還。万歩計の表示はだいたい1万5千歩でした。

都営白鬚東アパート/マンション §

都営白鬚東アパート・

 エスカレーターオフの懇親会では、ドボク系の多くの人たちが平静では居られなかった「聖地」です。私は漠然と存在を知っていただけなので、今回の訪問が初体験です。

 まず前提として、名称の表記に混乱が見られるようです。

  • ○ 都営白鬚東アパート/都営白鬚東マンション/白鬚団地
  • × 都営白髭東アパート/都営白髭東マンション/白髭団地

 さて。この通称「白鬚団地」は、避難場所を火災から守る防火壁として機能することを前提として設計されており、隙間にシャッターが降りたり、外部に放水銃が設置されていたりします。屋上には通信用のアンテナも見えます。まさに、防災の要塞です。

 しかし、実際に訪問して気づいたのは、この施設の魅力はシャッターや放水銃といった個別の装備にだけあるわけではない、という点です。つまり、まず建物そのもののデザインに魅力がある点にこそ、高い価値があると思うわけです。それは、科学技術によって災害に対抗する強い意志と自信を秘めたファッション性と言っても良いでしょう。消防車等の災害救助用の装備が「かっこいい」のと同じような意味で、この施設は「かっこいい」のです。幾何学的な横長のデザインですが、けして単調ではありません。建物は一列に並んでいるわけではなく、部分的にずれていたり、アクセントとなる部分が突出していたりします。

 そのような観点で現場を見てきたことで、住宅都市整理公団総裁が2007年10月29日 白髭団地ツアー/現にいまそこにあることで述べている以下のような文章の趣旨が分かったような気がします。

ひさしぶりにだらだらと書いたが、今回みなさんと話してようやく分かってきたことをひとつ。それは、ぼくが惹かれるのは「現にいまそこにあることの素晴らしさ」とでもいうものなのでは、ということ。つまり今回のメンバーはみなさんどちらかというと「作る側」の方々なわけだけど、ちょっと嫌な言い方をするとそういう街の風景を変えることができる「特権的」な場所にいる方々にとって風景を批判的に眺めることはこれはもう本能のようなものかもしれないけど、そうじゃないふつうの人にとっては街の風景は「現にいまそこにあるもの」であってそのオルタナティブが存在するだなんて思いもしないんじゃないかな。建築家にとって街の風景はパラレルワールドのひとつかもしれないけど、ぼくにはそうは見えない。あきらめでもなんでもなくて批判的に他の可能性を表すより、ぼくは「現にいまそこにあること」のパワーを愛でたい、と。白髭団地の土木とも建築ともつかない佇まいを見つつ、そんなことを思ったりしたよ。

 つまり私の視点は総裁の視点とたぶん同じです。私も、現にそこにあるものしか見えません。それが面白いか、魅力があるか、という点だけを問題にします。悪徳の限りを尽くして作られた施設であろうと、実際は役に立たない欠陥施設であろうと、環境破壊の産物であろうと、そういうバックグラウンドの問題はたいていの場合知らない状態で見ることになります。そして、そうやって見て面白ければ、それでOKと見なします。

 この場合、正しさや社会正義は横に置きます。なぜなら、誰もが正しいと叫んだことが間違っていたことは珍しくもない以上、自分で検証していない正しさに荷担することは無責任でありすぎると思うからです。

 だから、私が行動において目指すものは「今そこにあるものが面白いか否か」に集約されます。それは、健康のために歩かねばならない、という制約を最大限に楽しむための必然的な帰結でもあります。

(それゆえに、実は暗渠だろうと鉄塔だろうと何でも楽しむ「何でも屋」になってしまい、専門が不明瞭になって趣味がぼやけて見えてしまうわけですが……。自分が磨いているものの正体はおそらく「今そこにあるものから面白さを引き出す能力」です)

都営白鬚東アパート

レスキュー特撮アニメの巨大施設の根拠 §

都営白鬚東アパート

 レスキューをテーマにした特撮やアニメはけして多くありません。名作サンダーバードは有名ですが、実はそれを模倣した「レスキューもの」の亜流作品はほとんどありません。(たとえば和製サンダーバードを目指したゼロテスターは全くレスキュー作品にはなっていません)

 サンダーバードのアニメ版となる科学救助隊テクノボイジャー(Thunderbirds 2086)(1982年)も実質的に失敗しています。

 この流れは、2003年の出撃!マシンロボレスキューから2008年のトミカヒーロー レスキューフォースへと続く流れの中で劇的に変化した感があります。両作品はファンの支持もあり、成功作と評価して良いでしょう。特に、レスキューフォースはそのまま続編となるトミカヒーロー レスキューファイアーに放送が続くほどであり、「レスキューもの」というジャンルが定着するという劇的な変化が起きたことが分かります。

 さてここで問題となるのは、「なぜレスキューものが受容されるようになったのか」という変化の問題です。

 四谷三丁目の消防博物館を見たとき、消防車などの防災のための装備の格好良さを思い知り「確かにこれは魅力がある」と納得しました。しかし、それは実際には理解の半分でしかないことに、今日気づきました。

 さて、サンダーバードと21世紀のレスキューもの作品には決定的な違いが1つあります。それはサンダーバードの基地は基本的に「偽装された秘密基地」であるのに対して、21世紀のレスキューもの作品には防災組織の拠点となるハイテク巨大施設が「公然と」存在している点です。つまり、サンダーバード基地にはハイテクの外装が存在せず、あくまで内部の魅力だけの存在だったのに対して、21世紀のレスキューもの作品には基地の外装にハイテクの魅力が存在するのです。

 この違いの根拠はどこに求められるのでしょうか?

 シャッターや放水銃、通信アンテナも備えた防災の要塞とも言える巨大施設、「白鬚団地」のような施設こそが、そのような「ハイテクの防災要塞」が描かれるリアリティの根拠ではないでしょうか?

 つまり、サンダーバードを根拠とするテクノボイジャーが持ち得なかった説得力を、「白鬚団地」のような施設を含む現実のレスキューを根拠として成立するマシンロボレスキュー以降の作品は持ち得たのではないでしょうか?

 事実としてマシンロボレスキューは最終的に現実の組織であるハイパーレスキューと同名の国際ハイパーレースキューの設立で物語を終え、レスキューフォースやレスキューファイアーは作中に本物のレスキュー隊や装備の紹介が挿入されます。

皮革(ひかく)産業資料館 §

 入口の一声掛けて入る必要がありました。

 中は要するに革製品ばかりが展示される施設ですが。

 特に興味がないのに飽きないことは驚くばかり。

 王選手や長島選手(とだけ書いて済ませる世代だ)が使ったシューズやグローブや、具志堅用高のグローブなど、歴史的な本物の展示も多数。世界の様々な靴など異色の展示、古い製品や、コンテストの入賞作品など、バリエーション豊かな展示が多数並んでいて、本当に楽しめます。

 これで入場は無料ですから、とてもお得です。

 難点は駅から遠いことでしょう。といっても、案内を見るとバスで行くことが前提であり、誰も駅から歩いたりはしないようですが…… (大汗)。

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