「むしろイデオンとヤマトは似ている?でレインボー戦隊ロビンと書いたけど、きっと若い人の多くは『ロビンというの子が主人公で戦うアニメだ』と思ったに違いない」
「連中の頭にあるロビンはおそらくニコ・ロビンとかそのへんだろうからね」
「でも、ヒロインはリリーだ」
「おてんばリリーだ。おしゃまなリリーだ。ステキなリリーだ」
「でも、個人的に戦うヒロインのルーツはロビンにある」
「ほほう?」
「でもリリーじゃない。敵の少女パイロットが出てくるのだな」
「敵のパイロットが女!」
「しかも可愛い少女なのだ」
「従軍経験者がまだ多い時代からこそ描けるのだろう、というシンプルだが濃い描写の多いあのアニメに?」
「いやいや。本物の戦争を分かっているからこそ出てくる描写だろう」
「というと?」
「第2次大戦で女性の戦闘機パイロットはソ連軍にいたというからね。けして無謀な設定ではないと言えるよ」
「なるほど」
「むしろ、独裁者の嘘に目覚めてそれを打倒する運動に身を投じるという設定からすれば、純情で戦える女の子の方が似合っているぐらいだ」
「それ、本当にモノクロ時代のアニメの話?」
「そうだ」
「ヤマト以後ではなくて?」
「もちろん以前だ」
「うそー」
「従って、戦う女性像のルーツを辿っていく作業は難しい。安易にセーラームーンを元祖とするレベルでは到底足りない」
「レダとかそういうレベルでも足りないね」
「うん、もっと古くまで辿れだ」
「そこ、ネタが難しいよ。『レダ』と『辿れだ』を掛けたダジャレだろう」
「ダジャ『レだ』ろう、もよく見ると掛かってるぞ。まあそれはともかく本題に戻ろう」
「ということは?」
「女の子が戦っているというレベルなら、既にロビンで体験済みということさ」
「つまりは?」
「それだけでは面白くも何ともないということだ。あまりにもネタが古すぎるからね」
「では、戦うヒロインの世界的な描写の潮流は?」
「その先を模索しているという点で興味深いね、単に女の子に変身ステッキを渡して戦わせるような安易な話にはならず、どういう女の子がいかにして戦える根拠を得るかが問題になっているわけだ。もちろん、根拠を云々する以上、描写できる人数は減る。当然の成り行きだ。その結果、美少女ハーレムとは異質な世界になるのも当然の成り行きだろう」
「それでもいいの?」
「いやむしろその方がいい。つまりだね、軍人という戦える根拠を持った敵パイロットの少女捕虜との会話がレインボー戦隊ロビンのポイントだとすれば、その後継者はただの女の子であってはならないし、複数いる必要もないからだ」
「他に言いたいことは?」
「あと、ロボットに変形する戦闘機ももうロビンで見たアイデアだから。問われているのは、そういう小手先の変形ギミックに頼らない戦闘機描写であって、より凝った変形ギミックじゃないということ。分かるかな?」
「つまりACE COMBAT?」
「それはまた別の問題だ」