TV第1シリーズがヤマトを航空機のイメージで捉え直す作品とすると、「さらば」はフネへの回帰。ならば松本先生の意向が強いヤマト2で再び航空機に戻ったのかといえば、そうではなく中型雷撃艇の存在が「あるべき戦艦」のあり方そのものであることを示しました。
そこではたと気づいたのは、ハーロックの存在です。
ヤマト2も宇宙海賊キャプテンハーロックのアニメも、1978年です。
実は松本先生自身が海賊というモチーフを経由して海のモチーフに向かっていた時期にヤマト2があったため、ヤマト2のヤマトもフネとしての描写が濃くなっていったのかもしれません。
ちなみに「地球の反逆者だが実は地球の愛国者」という設定はヤマト2と1978年のハーロックに共通するモチーフです。古代君も台場君も、軟弱で自分勝手な地球に見切りを付けて、宇宙に乗り出します。最初の切っ掛けが、謎の通信か謎のペナントかの違いはあれど、メッセージであることも同じ。更に言えば、移民船団ごと来たマゾーンと、都市帝国ごと来たズォーダーも似ています。
実は、この時点で松本先生自身が語りたかった物語があり、それがヤマト2とハーロックという形で結実したのかも。しかし、ハーロックはアニメになって「ちょっと違う」作品になってしまった感があります。むしろヤマト2の方がまだしも松本先生自身の理想に近いのかも。
とすれば、ある意味でハーロックのあるべき姿、中断された原作のそのあとを見る助けにヤマト2がなってくれるという可能性もあり得ます。逆に、ハーロック論を語ることが、ヤマト2解釈の助けになってくれる可能性すらありえます。だから、ハーロック論は無駄ではなかったのかも。