「理想のヤマト友達という考えがある」
「ほう。どういう人と友達になりたいの?」
「そりゃもう、同じぐらいヤマトが刷り込まれている人」
「知識の多い人?」
「いや、刷り込まれてしまった人だよ」
「もっと具体的にいうと?」
「そうだ。具体的な理想像があるんだ」
「というと?」
「斜めに傾いたエスカレーターに乗ったとき、このエスカレーター斜めに傾いてるんじゃないか?と言ったら、そうだ確かに斜めだ、と答えてくれる人」
「そんなのが理想像かい。じゃ、行き先は宇宙艦橋? 行くと髭の艦長と病院1の大美女が出迎えてくれるべき?」
「そこまでは望まないさ。あたり前だろう?」
「ははは。それは確かにあり得ないな」
「しかし、実は問題が1つある」
「それはなんだい?」
「傾いたエレベーターなど、まず存在しない」
「おっと」
「つまり、そんな台詞を言える人がたとえいても、まず言うことはあり得ない」
「それは悲惨だね。でも、斜行エレベーターって無かったっけ?」
「あるぞ。でも、移動が斜めというだけで、床が傾くわけではない。最初は水平で、乗っていると床が傾いてくれないと困る」
「そこが問題なんだね」
「ちなみに、エレベーターが水平に動くと宇宙大作戦ごっこができるんだが、そういうエレベーターにもお目に掛かっていない」
「ブリッジ」
「ぐいーん」
「そうか。エンタープライズ号のエレベーターは水平にも移動するんだよね」
「ちなみに、エンタープライズ号ってNCC-1701のことね」
「宇宙大作戦と言ってるんだからそれぐらい分かるだろう」
「いや、一番好きなエンタープライズはNC-1701Aとかいうと今時の若者ファンにバカにされちゃう時代なんだぜ。一応は説明しておかないと」
「はぁ?」
「それに自信を持って断言するぞ」
「何を?」
「おいらはSTAR WARS音痴だが、STAR TREK音痴でもある。TNGとかDS9とかほとんど見てないから知らないしな。はっはっは」
「でも、昔のは知ってるんでしょ?」
「カーク船長の時代までだ。ピカッと光ってどーんと出てくる禿げ艦長はよく知らない」
「でも、両艦長が共演する映画とかもあったじゃない」
「それはテレビで見た」
「それでも音痴なの?」
「うん。結局、スペース1999の再放送のあと、同じ枠で宇宙大作戦を再放送していたことがあったけど(テレビ朝日)、その時点で既に賞味期限が切れていたのかもね。カーク船長が出ていてすら、もうイマイチだった」
「だからTNGとか、だからDS9って言われそうだね」
「ちらっと見たことがあるけど、やはり何かが違うなという気がする」
「じゃあ、違わないのはなに?」
「ヤマトだ」
「話が最初に戻った」
「それにしても、エレベーターが傾くぐらいなら、日常生活の中にでも……と思うが、実際にはなかなか遭遇できないね」