2011年03月14日
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なぜ模型を作るときに手を抜いても良いのか?

Written By: 川俣 晶連絡先

「地震の問題でグダグダなので関係無い話題行くぞ~」

「それで話題はなんだい?」

「なぜ模型を作るときに手を抜いても良いのか?だ」

「なんかいきなり核心に迫ったね」

「あたぼうよ」

「それで? プロじゃなくてアマチュアだから手を抜いてもいいってこと?」

「そうじゃない」

「じゃあ、いったいどんな根拠があるんだ?」

「順を追って話すぞ」

「うん」

美術という問題 §

「ここ数年、美術館にしばしば行く」

「うん」

「それから、しばしば模型のイベントにも行った」

「それがどうした?」

「美術館に展示されているのが立体の美術品だとしよう」

「確かに、彫刻とか、建築模型とか、立体物が展示されている場合もあるね」

「ならば、模型と立体美術品との差はどこにあるのだろうか」

「えっ? そうだな。現実問題として同じじゃないか? 実際に村上隆のフィギュアをワンフェスで売ったりしてるわけだろ?」

「では、そのようなコラボは例外として除去しよう。そもそも、模型の方法論を取り込んだ美術なので違いが分かりにくい」

「うーむ。彫刻とか色塗らないのが美術で、塗るのが模型?」

「塗ってある美術品もある。塗ってあると言う前提で比較しよう」

「じゃあ素材が違うとか?」

「使えるものなら何でも使うから大差ないと考えよう」

「降参だ。分からないよ」

美術館で見た光景 §

「では答えよう。美術品はとてつもなく作りがおおざっぱであることが多い。色などもけっこう塗り分け線とかおおざっぱだし、塗りむらも多い」

「えっ?」

「対して模型は正確精密に着色されていることが多いと感じる」

「どうして違うんだ? 美術の方が立派だからより精密に作りそうじゃないか」

「結局、意図するところが違うわけだ」

「どう違うの?」

「美術は人間に与える印象のために作られるが、模型は再現のために作られる」

「なるほど」

「だから、美術は人をより感動させたら勝ちだが、模型はより精密正確に再現した方が勝ちなんだよ」

「分かった。だから模型は精密に再現しないとだめなんだね?」

「ちがーう。もっと頭を使え」

「えっ?」

本当に大切なこと §

「プロが作った作例をイベントで展示したら、うるさいマニアも見に来るから精密度や正確度が問題にされる」

「マニアは五月蠅いからね」

「でも、素人が作って見るのもただの人だけならどうなる?」

「あれ? そうだな。別に精密度や正確度は問題にならないな。マニアほど知識もないわけだし」

「でもさ。パッと見た目の第1印象は重要なんだ」

「あれ?」

「結局、『なぜ模型を作るときに手を抜いても良いのか?』といえば、第1印象だけを重視すると割り切った瞬間に、模型として大切なことの多くが無視できるからなんだ」

「難しいね」

「そうだ。この割り切りは難しい。あくまで模型の世界にいる限りなかなか割り切れないと思う」

「じゃあ、君はどうなんだい?」

「もとより模型の世界には生きていないが、美術館に通って『あ、この程度の工作精度でも美術館に陳列できるんだ』という認識を得て、やっと割り切れたようなものだ」

「ははは」

余談 §

「だからメタリック一色塗り仕上げなんていうのは認めない」

「与える第1印象にあまりインパクトがないからだね。でも君は昔作ったじゃないか」

「それはデカールの使用作例ということで、デカールが目立つように模型が目立たないようにする必要があっただけだ。時間も無かったしね」

「うーむ」

「あと、透明素材のクリスタル仕上げってのもギリギリありかもしれない」

「光の屈折で表情が出るかもしれないってことだね」

「上手く行けば嬉しいという程度だがな」

その先の話 §

「でもさ。そうすると君の作っている模型はむしろ美術の領域にあることになるぞ」

「そこまでは言わないさ」

「どうして?」

「ぺたぺた塗るのが楽しいから作っているだけで、立派でご大層なものを作ろうとしているわけではない」

「でも、模型の領域にも無さそうだぞ」

「かもな」

「じゃあ、いったいなんだよ」

「自己満足!」

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