「テーマは原宿だ!」
「なんだよ急に」
「予想以上に面白かったぞ」
「順を追って話してくれよ」
発端 §
「IS12Tについて調べているとき、KDDIのショールームが原宿にあることが分かった。しかし、ついでに意外なものを見た」
「えっ?」
「ジブリ映画の「コクリコ坂から」の作品展もやっていたのだ」
「妙な取り合わせだね」
「しかも、原宿なら自転車で到達可能である」
「電車賃いらないね」
「というわけで、ある日自転車を漕いでKDDI デザイニングスタジオまで行ったのだ」
「それで?」
「自転車を止めておいておける場所が見つからず、敗退した。中身も見ないですごすご帰ってきたよ」
「ぎゃふん」
「今日は副都心線経由で電車で行った。自転車無ければ怖くない」
計画 §
「というわけで、昨夜計画した」
「それで?」
「しかし、すぐ近くの裏手が渋谷川跡だと分かった。そこも見ようと思った」
「暗渠マニアだね」
「ところが、そこで原宿変電所という場所を見つけてしまった」
「変電所マニアだね」
「いろいろ見るものが増えた」
展示会の感想 §
「見るものが増えたので、JR原宿より近い副都心線経由で原宿入りすることにした。それから、IS12Tは既に発売済みなのでもう見なくていいと割り切った」
「他にみるものが増えたからだね」
「しかし、それでも凄いパンチだった」
「どうして?」
「展示は良かったよ。規模は小さいけど。いいシーンを選んである」
「それで?」
「でもさ。ジブリの映画の絵を見せるだけでは無かったのだ」
「どういう意味?」
「当時の原宿や、横浜の写真のパネル展示もあったのだ」
「当時って1963年だよね」
「そうだ。だからもう、見た気分は歴史資料館がやっている写真展と大差なかったのさ」
「なんと。アニメの話ですらないじゃないか」
「そのとおり」
原宿変電所 §
「それで、原宿変電所は?」
「地図にはあったが、現物は無かった。マンションを作ってた」
「えー」
「つまり、歴史の1ページを目撃していたのだ」
渋谷川 §
「それで渋谷川跡は?」
「このへんかなーと思ったあと、TEPCOマンホール探索にうろうろしていると、凄いものを見つけた。原宿橋の欄干だ」
「凄く水路跡っぽいね」
「しかも、そのすぐ脇に凄く水路跡っぽい路地があった」
「えっ?」
「おそらく支流の跡だ」
「でも、原宿だろう?」
「1つ見誤っていた。原宿のオシャレな薄皮をはぎ取ると、そこは水路跡天国なんだ。渋谷川に沿って水っぽい痕跡がいろいろ残る。店の多い地域は徹底的に作り替えられて高低差まで人工的に構築されている場所があるが、少し離れるとそれっぽいムードはあちこちに残る。しかも、道が入り組んでいて一筋縄では行かない」
ロマンアルバム §
「帰りに本屋でコクリコ坂のロマンアルバムを買ったけどさ。開いて読むと、建物のモデルに同潤会アパートがどうのと書いてあって、完全に話が一回りしたよ」
「わはははは」
「ジブリの映画もKDDIもオシャレな原宿も完全に歴史趣味の一部に包含されてしまったよ」