2011年09月02日
川俣晶の縁側ボツ原稿の墓場total 4030 count

没原稿・Apple製品幻想の由来を考察する

Written By: 川俣 晶連絡先

「実は目から鱗が落ちた」

「なんだい?」

「Apple製品は使い勝手が良いという幻想の出所だよ」

「Apple製品を褒め称える連中はいかにバカかって話?」

「違う。こんな単純なことに今さら気づくおいらは、とんでもなくおめでたいバカだって話だ」

「ぎゃふん」

事例 §

「まずサンプル事例から行くぞ」

「サンプル?」

「話を始めるには、やはりとっかかりが必要だ」

「分かったよ。それでどれだい?」

「これだ」

http://www.asahi-net.or.jp/~HX3S-KRTK/Tsubuyaki/tsubuyaki.htmより

昔はPlusから始まって、LC、LC630、PB150、Duo、8500、G3と Macをかなり長い間(G3まで)使っていましたが、会社で

PCをWindwsに統一されてしまい、しばらくMacから離れていました。

初めはフロッピーをゴミ箱に入れて、飛び出してくるのをずっと待っていたりと、MacとWindowsとの様々なギャップに当惑しましたが、

いつしかWIんどwsのくせというかユーザーインターフェースの悪さになれてきました。

ところが、iPhoneが出て、見たとたんにソフバンショップに予約に走り、やっぱりAppleは良いな~と。

Mac Whiteを手に入れ、iPhoneのプログラミングにはまるのにもそれほど時間は掛かりませんでした。

ここ半年は、iPhoneに関するプログラムの本ばかり読んでいますが、読んだそばから忘れていって..(--;;

「それでどの部分を問題にするのかい?」

「話が発散するので、以下の1文に限ろう」

  • 初めはフロッピーをゴミ箱に入れて、飛び出してくるのをずっと待っていたりと、MacとWindowsとの様々なギャップに当惑しましたが、

「分かったよ。それでこれに何の問題があるんだい? 違う環境に移行したらこの手の失敗は誰でもあるだろう? 流儀の違いにはみんな悩む」

「いやいや。その先だよ」

「えっ?」

「この人は、フロッピーをゴミ箱に入れて出るのを待ったが、それは本当に流儀の違いの問題なんだろうか」

「意味が分からないよ」

「よし、では話を巻き戻そう」

「どこまで戻るんだ?」

「ゴミ箱とFD」

「そりゃまたずいぶん昔だな」

「ゴミ箱は、ファイルの削除というメタファのために用意されたUIコンポーネントだ。削除してもしばらくはゴミ箱から取り出せるという意味で、単なる削除では無くゴミ箱というメタファを使う価値があった。実際、ゴミ箱なら、一度捨てた書類を拾い上げることはできるからな。とても分かりやすい」

「うん」

「FDは記録媒体だ。サイズや容量のバリエーションは多い。当初は、手動イジェクトで、ボタンを押すと機械的に出てきた。しかし、ソフトイジェクトのドライブが途中から出てきた。ソフト的にイジェクト可能だ。しかし、あまり普及しないまま、FDを見かける機会が減ってしまった」

「それがどうしたの?」

「さてここで問題だ。なぜMacintoshは、FDのアイコンをゴミ箱のアイコンにドラッグするとイジェクトするのだろうか」

「便利だからだろ?」

「いや、ここで注目したいのは、それが分かりやすいかだ。ゴミ箱は分かりやすいという点で優秀であったのだ。ならば、ゴミ箱にドラッグする行為がイジェクトという動作に結びつくことが分かりやすいだろうか」

「ええと、ゴミ箱いうのはゴミを捨てる場所だよね。でも、FDをイジェクトするのはFDを捨てたいわけじゃないよね」

「そうだ。厳密に言うと、ゴミ箱は削除候補ファイルのリストを管理する機能を持つ。削除を取り消さない限り、いずれ消えていくファイルが入る。しかし、そこにイジェクトの機能性は無い。無いどころか、正反対だ。FDを使うということは、FDに入ったファイルを保管したり、どこかに持っていきたいわけだ。無くなってしまったら困る」

「それは分かりにくいね」

「だからさ。Apple社のUIは自らや信者が豪語するほど優れているわけでも、分かりやすいわけでもない」

「なるほど。それに気づかなかったことが君の後悔というわけだね」

「まさか」

「えっ?」

「ここから先が本題だ」

「どういうこと? 説明してくれよ」

「ある程度以上の年期が入ったWindowsユーザーはほぼ全員が他の環境からの以降組なんだ」

「なぜ?」

「最初、WindowsなんていうOSは存在しなかったからさ。しかも、それが普及するのはWindows 3.0以降だ。それ以前にWindowsを使っていた人は驚くべき少数派だろう」

「そうか」

「でも、彼らはみんな移行できたんだ。文句の1つもあろうがな。いや、10個や100個かな」

「それはApple信者も同じじゃん」

「そうじゃない。Windowsに移行した人たちはいくら文句をぶーぶー言ってももう戻らない。しかし、Apple信者は戻るんだ。それはなぜか?」

「いったいなぜだい? 戻る先があるからかい?」

「戻る先があっても戻らない人は多い」

「うーん、分からないな」

「では説明しよう。Apple製品のUIは直感に反する動作を多く含む。それに慣れ親しむということは、UIのモデルを把握してそれに沿って使うのではなく、UIそのものを身体に染み込ませてしまう」

「それで?」

「通常、移行の壁を乗り越えるのは難しくない。UIのモデルを把握してしまえば、知らない機能もだいたいこのあたりと推測可能になり、使っていけるからだ」

「そうか」

「でも、モデルを経由しないで身体に『直感に反するUI』を染み込ませてしまった人は、そのようにして利用することができない」

「えっ。まさか」

「だから、Macintosh信者にとってWindowsは使いにくい。当たり前だ。身体に染み込ませた使い方に反するからだ。頭では乗り越えられない。しかし、そこで自分に問題があるとは考えないから、『Windowsの出来がわるいから』という理由で納得したがる」

「責任転嫁か」

「ここで逆に考えてみよう。なぜApple製品のUIは直感に反する動作を多く含むのか」

「なんか怖い考えになってきたぞ」

「そうだ。とても怖いぞ」

「つまりさ。直感に反する動作を多く入れると、移行の壁が高くなるってことだろ?」

「そうだ。壁が高いと移行できなくなる。良い顧客の囲い込み戦略だ」

「じゃあApple信者っていうのは?」

「『素晴らしいパソコンを僕たちだけは知っている』と思い込まされて囲い込まれたカモだ」

オマケ §

「あえて疑問を持つ人がいると思って質問するぞ」

「なんだい?」

「その話が事実だとするとMacintoshを下手くそに猿まねしたWindowsの方が優れていることになってしまい、矛盾するぞ。と思った人がいると思うぞ」

「答えは簡単だ。マウスとウィンドウの元祖はXEROXのPalo Alto Research CenterのAltoであって、Macintoshではない。MacintoshもWindowsも、今はもう無いが山ほど当時あった類似の環境も、みんなAltoの猿まね。Macintoshがオリジナルなんてことはないよ」

「でも、WindowsはMacintoshを真似した部分もあるのだろ?」

「真似してない部分も山ほどある。最近になって気づいたけど、初期のWindowsが持っていたウィンドウシステムのCで書くオブジェクトモデルは、構造的に比較的Altoで使われていたSmalltalkに近い。というか、CかPascalかという時代にオブジェクトやクラスの概念を持ち込む理由としては、Smalltalkを意識したとしか思えない。初期のMacintoshにはない特徴だ。Altoから直接的に思想的影響を受けていた証拠だ」

「じゃあさ、MacもWindowsもみんなAltoの子で平等ってことじゃん」

「そうだよ。中でも出来の良い子と出来の悪い子があった。Macintoshはイマイチ出来が良くなかった。何しろ、初期バージョンはマルチタスクOSですらない。Windowsは最初から原始的なマルチタスクだったのとは大違いだ。他にも山ほどAltoの模倣者達がいた。中でも、最優秀の子になろうと頑張ったのがOS/2のプレゼンテーションマネージャーだろう」

「でも、もう影も形も無いじゃん」

「エリート教育を詰め込み過ぎてかえって破綻してしまったみたいだ」

「ぎゃふん」

「Windowsより優れた点はいろいろあったんだぞ」

「でも消えちゃ意味が無いよ」

「だからさ、Windowsが最優秀選手ということはないよ。直感に反する動作だって含んでいる。単に生き延びただけ。Altoの子らの中でも中庸だろう」

「じゃあ、どうしてMacintoshは特別なんだい?」

「自分が優秀では無いことを自覚して、世界制覇では無く自己保存に特化した戦略を採ったからだろう」

「つまり企業規模に相応の規模の、忠誠心の高い顧客層の囲い込みだね」

Facebook

キーワード【 川俣晶の縁側ボツ原稿の墓場
【ボツ原稿の墓場】の次のコンテンツ
2011年
10月
07日
アオレンジャー童貞説
3days 0 count
total 1774 count
【ボツ原稿の墓場】の前のコンテンツ
2004年
05月
21日
オータムマガジン用ボツ原稿「ソフトウェア技術者は恐怖を感じているか?」
3days 0 count
total 2374 count

このコンテンツを書いた川俣 晶へメッセージを送る

[メッセージ送信フォームを利用する]

メッセージ送信フォームを利用することで、川俣 晶に対してメッセージを送ることができます。

この機能は、100%確実に川俣 晶へメッセージを伝達するものではなく、また、確実に川俣 晶よりの返事を得られるものではないことにご注意ください。

このコンテンツへトラックバックするためのURL

http://mag.autumn.org/tb.aspx/20110902134758
サイトの表紙【ボツ原稿の墓場】の表紙【ボツ原稿の墓場】のコンテンツ全リスト 【ボツ原稿の墓場】の入手全リスト 【ボツ原稿の墓場】のRSS1.0形式の情報このサイトの全キーワードリスト 印刷用ページ

管理者: 川俣 晶連絡先

Powered by MagSite2 Version 0.34 (Alpha-Test) Copyright (c) 2004-2018 Pie Dey.Co.,Ltd.