「デジカメ黎明期には、けっこうデジカメマニアであった」
「そんなに?」
「伝説のQV-10から数台持っていた。出費も多かったぞ」
「今はぜんぜんじゃない」
「そうだ」
「なぜ?」
「つまらなくなったからだ」
「どうして、つまらなくなったの?」
「デジカメが遊びでは無くなったからだ。娯楽じゃないなら、つまらなくてあたりまえだ」
「どういうこと?」
「デジカメの性能が上がって実用性が認められた頃だな。デジイチが出てきた頃と言ってもいい」
「そうか」
「そもそも、その時代になるとコストもオモチャでは済まされないからな。ボディだけでも高いのに、高価なレンズが山ほどある。対応できるのは、その道のマニアとプロだけだよ。遊びを期待する者の居場所はもう無い」
「難儀だね」
「だからもう、デジカメはメモ用と割り切って、PHSとかスマホの内蔵カメラでいいや、という状態。一時はGPSデジカメが欲しいと思ったこともあるが、スマホの内蔵カメラにもGPS情報が付けられるので、今は思っていない」
「分かった分かった。IS12Tのデジカメでいいんだ、というのが結論なのだね」
「ちがーう」
「は?」
「実は楽しいオモチャとしてのデジカメはあったのだ」
「どこに?」
「3DSの内蔵カメラ」
「えー」
「3Dカメラなので、立体的に撮れる。しかし、画質はオモチャレベルだ。でもいい、なぜならオモチャの方が楽しいからだ」
「写真としての善し悪しを叩かれるような本気の写真は目指していないってことだね」
「そうだ。しかし、オモチャでも最低限の基本は堅持されている」
「基本って?」
「メモカに記録されれば、それをPCに突っ込んで読めるんだ。2DはJPEG、3DはMPO形式で記録されている」
「MPO形式?」
「Mutli-Picture-Formatだよ。仕様が公開された標準形式」
「ってことは、3DSからメモカを抜いてPCに差し込むと、MPOファイルがエクスプローラで見えるってこと?」
「そう」
「それをメールに添付して送れるってこと?」
「そう」
「メールをもらった人は、MPOファイルが見られる手段があれば、3DS持って無くても立体で見られるってこと?」
「そう」
「それは凄いね」
「ここは特に重要。他人に見せられるから、初期のデジカメはオモチャとして優秀であった。デジカメってオモチャで遊んでいるよという事実を、撮ったファイルを送ることで簡単に説明できた」
「同じ事が簡単にできるから3DSは優秀なオモチャってことだね」
「実際に、立体感が出るように工夫しながら撮影していると楽しいよ。画質がオモチャレベルでもね。要は立体的に見えることが重要なのであって、後は些細。逆に、些細な遊びに金は掛けられないから安いことも重要。値下げされた3DSは、他の用途にも使えることを含めて考えれば、かなり安い部類に入る」
見よ §
「というわけで、これがMPOファイルの実例だ」
「実際にMPOファイルを閲覧できる環境があればすぐ立体で見られるわけだね」
「そうだ」
悲しい人は §
「MPOファイル見られない人はどうするの?」
「拡張子をJPGに変えればJPEGとして見えるという話もある」
「やった」
「でも、もちろん立体には見えない。それをやって意味があるのかは微妙」
「がーん」