「綾波修復計画は一応、これで完了としよう」
「ぜんぜん綾波に見えないよ」
「もちろん、わざとそうした。というか、綾波のみならずどのキャラでも同じ事だ」
「えー」
「基本的にこのキットは透明レジンなので、それを活かさない選択肢は無い。その場合、服に色を入れるとしたら、透明レジンが生きる面積がとても少ない。なので、思いっきり足は服では無いという解釈で塗り分けだ。超ハイレグだ」
「なんてこった」
「更に計画された計算を言えば、黒で塗った理由は他のキットと違う」
「それはなんだい?」
「このキットは青い透明レジンなのだ。それを肌とするには、寒色系過ぎる。それを肌のように見せるには、もっと強い寒色系の色を服に入れないとならない。黒はそれのトライアル」
「一応考えてはいるんだね」
「透明レジンのキットは始めて塗装して扱うからな」
「これで完了か」
「実はもっと小さい綾波が並べる途中で腕が取れてしまったので、これも本来なら修復対象だ。順番に取り組んで行こう」
10号娘おっとりの詩織 §
「首無しだが、ここまでできた。あとは首を乗せておしまいとするか」
「間もなく完成だね」
「しかし、このキットはいろいろ興味深い」
「なぜ?」
「公式の作り方で作ると以下の2つの弱点を持つ」
- 肌に近い淡い暖色系でインパクトが少ない
- ゴテゴテとアーマーが付きすぎて印象が散漫になってしまう
「その2つを解消して勝手に作っている、ということ?」
「そうだな。それがキット愛だ」
「このキットはもっと魅力を引き出せると思うなら、オフィシャル設定は無視するわけだね」
「設定書の束より目の前のグレーの塊だ」