「予想外だが、ヴァンシップよりヴェスパの方が面白くてそればかり作っている」
「完成形が分かりにくいよ」
「それはまだお楽しみってことで」
「それで?」
「このヴェスパ、赤く塗ってみたので、(仮称)『ストライクルージュの伝言号』と呼ぶことにした」
「どんな名前だよ」
小さい頃は神さまがいて、不思議と夢を叶えてくれた♪
(空を自由に飛びたいな。ハイ、タケコプター)
大人になっても奇跡は起こるよ♪
(空を自由に飛びたいな。ハイ、2人乗りのヴェスパ)
「……という感じで」
「意味ワカラン」
「本当は奇跡なんて起こってないんだよ。しくしく」
ヴェスパの正体 §
「ヴェスパは最初バイクのようなメカという認識であったが、2点式の尾輪で3点で接地するスタイルは明らかにバイクじゃない」
「じゃあなんだよ」
「飛ぶために必要な最小限のものしか付いていない、というのがヒントになった。3点で接地して、2個の小さな車輪が付いているメカ。それはウルトラ・ライト・プレーンだ。ヴェスパというスクーターみたいな名前は後付けの名称であって、本来の名前ではない」
「全体としては似ていないよ」
「そりゃそうだ。飛ぶための最小の機構に絞り込んだ機体は、飛ぶ仕掛けが違えば形が違ってくる。ただ、シンプルな骨組みに乗っているような感覚は似ているな」
「えー」
「バイクっぽいニュアンスももちろんある」
「他の要素も入っているということだね」
足の問題 §
「今回、2人とも手足は黒く塗った」
「なぜ?」
「生足では寒すぎるだろう。黒タイツで防寒しているという解釈で足は黒だ。他の色はそこから逆算して決めてある」
「ということは、黒タイツのためにあらゆる設定は横に置いたと?」
「その通り。えっへん」
「誉めてない!」
ヤスリの問題 §
「予想以上にヤスリを使ったな」
「どのへんに?」
「たとえば後席の搭乗員の股の内側」
「なぜ?」
「そのままだと椅子にまたがらなかったので」
「ひ~」