「木曜日に見てきた」
「なんで?」
「8月1日は新ピカが1000円だったから」
「じゃなくて、風立ちぬでもショートピースでもポケモンでもないこれを見た理由は何?」
「フランスアニメは珍しかったから」
「それだけ?」
「ポスターの絵のタッチが凄く日本のアニメっぽく無かったから」
「それだけ?」
「それだけ」
見たけど…… §
「劇場はどうだった?」
「最終的に席は埋まってたみたいだけど、事前の予約は伸びてないし、スクリーンも小さかった。あまり注目度は無いみたいだ」
「見た感想は?」
「時々綺麗な絵はあったよ。音楽も良かった」
「もっとざっくばらんに」
「我が儘だなあもう」
「たとえば、シナリオはどう? 動きはどう?」
「シナリオは通俗的で、意外性もひねりも無い。屈折も無い」
「動きは?」
「人間が、関節が無いうにょうにょした動きをする時があるけど、あれは狙ってやってるのかな。それとも、アニメーターかそうとしか描けないのかな。良く分からない。泥棒の特殊技能性を表現したいのかね。でも、どっちにしても、あまり上手い表現では無いと思った」
「猫は?」
「あまり印象に残らない」
「結局、どこに引っかかったの?」
「この映画は、悪党と泥棒と警察が出てくるのだが、泥棒は悪党の属性を持った正義側の人間なのだ。しかし、なぜそのように屈折した分かりにくいキャラクターになっているのか、そこが分かりにくい」
「それって、ルパンIII世と同じじゃん」
「そう同じ。でも、ルパンIII世は基本的に悪党側の人間であり、けして刑事と結婚したりはしない」
「分かった。君が言いたいのは、話が通俗的すぎるだけでなく、キャラクターに無理があるから、けっこう厳しいってことだね」
「まあ、世の中には通俗的な話が好きな人もいるから、これが良いっていう人も多いだろう」
「それが結論?」
「そうだな。結論は以下のように集約していいだろう」
「無いと言う割に語ったな」
「意味の無い冗長な言葉だ」