「機材を一括して大量に処分したのだが、懐かしの初代Akaneも一緒に処分した」
「Qualest 486/33だよね。かなり古いのでは? なんで今まで置いてあったの?」
「基本的に性能不足で引退したサーバなので、緊急時に起動するためのピンチヒッターとして保存していたのだが、さすがにもうピンチヒッターも無理なので廃棄することにした」
「そうか」
「AHA-1542Bという通には評価が高かったSCSIカードも入っていたけど、さすがに規格そのものが古くで意味が無いので一緒に処分してしまった」
「勿体ない」
「じゃあISAバスのカードを使えるマシンを君はまだ持ってるかい?」
「えーと……」
思い出 §
「486/33のマシンが、50万円で買えるという話が聞こえてきて、あの当時は大事件だった。慌てて会社で買ったよ。これが初代Akane」
「高いね」
「当時は価格破壊といえる安さだった」
「うそー」
「1992年頃かなあ」
「それからどうなった?」
「NT 3.1のプレリリースを動かすためにSCSIカードやCD-ROMドライブを増設して強化。そのまま、NT 3.1のプレリリースでサーバとしての運用に入った」
「買ったときはクライアント用だったのだね」
「そうだ。サーバは別途Ukyoが存在した。PC-9801RAで動くLAN Managerのサーバだった」
「LAN Managerってなに?」
「MSのネットワークソフト」
「当時から寄らば大樹の選択?」
「とんでもない。世間の圧倒的多数派はNetwareを使っていた。LAN Managerを使うのは理解不能の愚行という目で見られたよ」
「えー」
「その後、Netwareは廃れて、Windows系のOSはNT系で決まってしまった。対抗はLinux系。LAN ManagerからNTは同じメーカーだから素直にアップグレードできた。凄く楽で良かったから、世間に背を向けて正解だったな」
「Linuxは無視されてるじゃん」
「Linuxがブームになる前はね。Yggdrasil Linuxというディストリビューションがあってね。秋葉原でCD-ROMを売っていた。あれは、CDとRAMディスクで動作したので、初代Akaneでも起動した可能性があるな」
「えっ? NT信者じゃないの?」
「違うよ。NT信じてないよ。だから評価してストレス掛けてちゃんと動いたから採用したんだよ」
「Linuxは?」
「少なくともYggdrasilは問題が多くてダメだったな」
「ひ~」
初代ってことは §
「初代Akaneってことは、後継サーバがあるわけ?」
「あるよ。何代もある」
「じゃあ、Akaneでアクセスするとまだアクセスできるわけ?」
「できないよ。名前は襲名してない。けして外部から強引にアクセスしようなんて思うなよ」
「ひ~」
「今動いている後継サーバは?」
「HPのML110だったかな。けっこう部品を換装して強化した状態で動いている」