「なぜこれを見たの?」
「松林宗恵監督の映画をもっと見たいなあと思って、適当にリストに入れておいたから。この映画の場合、実際には監督は他にいて、松林宗恵さんは応援監督という立場だったのだけどね」
「応援監督ってなに?」
「知らない。そう書いてあるだけ」
「それでどんな映画だった?」
- 死にに行く者達はけっこう赤裸々
- 女性がけっこう多く出てくる (大和には乗っていないよ)
- 人が虫けらのように死んでいく
- ある種の映像は古い、ぬるい、甘いが、別の種類の映像は今では絶対に撮れないリアルさ
- 「若いもんは海に飛び込んで泳げ」的であり、ヤマト1974第2話の参考になる内容
- 大和が沈んでも終わらない
- 海上に浮かんでいると銃撃されてまた死んでいく
「最終的にどう思う?」
「うん。だからね。この映画を最後に閉めるナレーションは戦争を知る者は戦争を望まないということだが、それは裏を返すと戦争を知らない者達が戦争を望むということだ。まさに今の日本はそうだな。戦争を知らない者達が大多数になり、歯止めが利かなくなってきている。どんどん【卑劣なXX国を討て】的なスローガンを叫ぶ者がうろうろし始め、多数派は【どうせ悲惨なことにはならないだろうから、まあいいかな】と思って賛成してしまうが、どうせ戦争になればみんな甘かったことを思い知らされる。でも自分の家の上に爆弾が落ちてきてから気付いても手遅れ」
「ひ~」
「だからさ。これは未来時制の映画なんだよ。日本はこれから戦争をやって負ける。負けた後の価値観を描いた映画」
「数十年ぐらい後にこういう映画がまた作られると思っていいわけ?」
「その時に日本人が生き残っていて、映画を作れる力があればな」
「ひぇ~」