「これはなんだい?」
「マスターガンダムに俺設定のベース・エクステンションを追加した模型だ」
「ベース・エクステンションってなに?」
「強化パーツだな」
「そもそも強化パーツがなんて股間に付いているんだよ」
「安定性を得るには低い場所が有利だから。胴体の最下部に装備してある」
「どんなパーツだよ」
「敵の装甲を貫通して内部から破壊する。Offensive Neuron Activating New Intelligent Expanderシステム搭載だ」
「それって頭文字だけ取り出して読むと」
「読んじゃダメ!」
「そもそもなんで先端が濡れているんだよ」
「冷却装置がそこにあるから、結露しているという設定」
「エッチな汁?」
「ちがーう」
「マスター【ベース・エクステンション】ガンダムって、略して読むと」
「省略しちゃダメ」
模型的解説 §
「SDガンダムとは、基本的に人が乗り込まない存在であり、それ自身が人格を持ったキャラクターなのだ」
「それで?」
「しかし、バンダイのパッケージアートはどれもギスギスしたものばかり。付属シールを貼っても、人間くささが出てこない。そこが不満だな」
「ヒーロー性は否定したいわけだね」
「そうだ。まず人間のある種の表現としての人格を持ったSDガンダムを、まさに人間くさく見えるように組んでみようという意図がある」
「どのへんに違いがあるわけ?」
「目だな。一緒に写っているSDターンエーも同じだが、目の描き方がオフィシャルの作り方と違う」
「そもそも、このマスターガンダムはどういう経緯で?」
「マスターべーションするガンダムは人間くさい、という意味でアイデアを採用した」
「アイデアはどこから出てきたの?」
「模型店の棚にSDマスターガンダムがあったのを思い出したから」
「改造ポイントは?」
「股間にWAVEのタンクを増設。他のキットを作ったときの余りだな。タンク類は山ほど余っているので、特に新規では買っていない」
「それで?」
「問題はタンクの保持方法だ。単に貼り付けるだけではすぐ落ちる。が、WAVEのタンクは根本が細くなった形状だった。その細い部分が、手持ちのピンバイスの一番大きいドリル刃とほとんど同じ径だったので、それで本体側に穴を空けて通した。これでかなりの強度が得られた」
「先端の水の表現は?」
「当初、【ベース・エクステンション】という名前だからフラットベースでやろうと思ったが、乾くとヒビが入ってダメだった。ツヤ消しクリアーでは乾燥すると痩せすぎてダメ。結局、想定外の機転で木工用ボンドで表現した。これなら乾燥しても痩せない」
「SDターンエー君が目を丸くしているのは、合わせて見せるためにそう塗ったの?」
「そういうわけではなく、アレはアレで別の意図で塗ったものだ」
「それだけ?」
「他にもいろいろ考えたり、試行錯誤したり、いろいろあったぞ。結果に繋がっていない分は省略するけど」
「手間かけすぎ」
男性器問題 §
「模型に男性器を象ったものを付けるのはどうよ」
「村上隆のMy Lonesome CowBoyは本物の男性器だよ。こっちはただのWAVEタンクだ。あれに比べればぜんぜん大人しいものだ。エロくないよ」
「でも、みんなショックを受けて硬直しているみたいだよ」
「表現としてはかなりデチューンした甘いものだったと思うけどね」
「本物はもっと過激だと?」
「うちのは子供の遊びだよ」
「では別の質問をしていいか?」
「なんだい?」
「なんで、女性器を装備させようとしていないんだい?」
「理由か? 穴は目立たないからだ。ビジュアルで分かりにくい。それにもともとガンダムは穴だらけなんでインパクトが無い」
「そうか」
「でもね、実はSDのZZの額の波動砲が赤くて大きくて穴で女性器に見えてしょうがない」
「額に女性器……。やめろ。変な想像をするな。ってか、変な作例を作るなよ」
「いやね。あれを上手く塗って、変な印象を与えないようにSD ZZを作って見たいという野望はあるよ。今のところ、キットは山ほどあるから買わないけど」
「SD専門?」
「そんなことはない。今、そこに組みたてて塗る前の1/144ターンエーがある」
「何のために?」
「SDターンエーとコンビを組ませ、凸凹漫才ターンエーブラザースを作るため」
「ぎゃふん」