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2014年09月17日
トーノZEROアニメ感想宇宙戦艦ヤマトtotal 995 count

【東京湾炎上】と【宇宙戦艦ヤマト】に関係はあるのか無いのか

Written By: トーノ・ゼロ連絡先

「【東京湾炎上】は非常に面白い。ビックリした」

「どこがポイント?」

「タンカーという超巨大船の本物が出てくる。しょぼい模型の戦艦大和などいくら出しても存在感で負ける」

「なぜそこに注目するわけ?」

「アメリカの映画だとね。本物がいくらでもバシバシ出てくるわけだ。本物の軍艦や軍用機、戦闘車両が出てくる映画がいくらでもあるわけだ。古いものも山ほど保存されているし、比較的小さいものはマニアがコレクションしているほどだ」

「軍艦で勝負する限り、戦敗国の映画界は戦勝国の映画界に負けるわけだね」

「しかし、抜け穴が1つだけあった」

「民間船を使う限り、古い軍艦が保存されていない問題は意味が無いわけだね」

「そうだ。しかも日本は大量の巨大タンカーで中東から石油を運んでいるから、巨大船をいくらでも撮影可能だ」

「そこで勝負する限り、邦画でも洋画に負けない表現が可能になるわけだね」

「そうだ」

「でもさ、その話はヤマトと関係無いだろう?」

「いやいや。違うのだ」

「は?」

「この映画は1975年7月12日公開なのだ」

「ヤマトは1974年10月から始まって1975年3月に終わっているわけだね」

「そうだ。ヤマトの終了直後なのだ」

「でも、そんなの意味があるのかよ」

「違う違う。脚本が連名で大野靖子と舛田利雄の名前があるのだ」

「舛田利雄来た!」

「つまりだね。宇宙戦艦ヤマト開始後、さらば宇宙戦艦以前であることはおろか、ヤマト1977以前のタイミングでこの映画は作られているわけだ」

「それにどんな意味があるのだい?」

「だからね。【東京湾炎上】の存在感は、最初のTV放映以後のヤマトに影響を与えているはずなのだ。特にヤマト1977やさらば宇宙戦艦ヤマトの背景にあるはずなのだ」

「うーん。どんな影響が考えられるのかい?」

「古い軍艦が残っていない日本で、いかに洋画と戦うか。1つの作戦が特撮技術の向上だが、これは1970年代の段階ではまだ上手く行っていない。まあ、今でも上手く行っていないとも言うけどな」

「ひ~」

「2つめの作戦が軍艦ではなくタンカーという巨大船で圧倒する作戦だ。これが【東京湾炎上】になるが、1つ問題がある」

「どんな問題?」

「大人向けになるのだ」

「お子さまは軍艦が戦わないと満足しないわけだね」

「そして3つめの作戦。アニメの利用。絵で描くなら、本物が残っていないことは重大な意味を持たない……はずだ」

「はず?」

「実際は意味を持ってしまうの。スタッフが本物を見ているかどうかで差が出るから」

「ひ~」

「でも、勝負の方法としてはあり。そして、ヤマトは勝った。アメリカで実写リメイクだ。アニメ作戦は成功した……はずだ」

「はず?」

「本物の兵器がいくらでも残っている国のクリエイターがリメイクすると、きっと日本のマニアはコレジャナイを連発するだろうからさ。ってか、今からコレジャナイの連呼が始まっている」

「ひ~」

「というわけで、日本のお家芸の特撮技術に陰りが見えてきた1970年代の打開策の1つが【東京湾炎上】で、もう1つが【宇宙戦艦ヤマト】であったと思えばおおむね当たっているだろう」

「それでこの話の結末は?」

「日本はストレートが鈍って来たので変化球を模索した。しかし、アメリカはストレートを投げ返してきて負けてしまった」

「スターウォーズや未知との遭遇だね」

「実はスターウォーズも未知との遭遇も、ストーリーはそれほど大したものではない。しかし、映像表現や演出力が高いので、突破貫通力があった」

「それにどんな意味があるんだい?」

「だからさ。観客には超えられない壁があるのだよ」

「は? 壁があるからどうしたっていうんだよ」

「だからさ。凝った大人の映画はすぐ壁の向こうに行ってしまうのだ」

「えー」

「その意味で、それほど大したストーリーではないスターウォーズや未知との遭遇は勝てる。しかし、【東京湾炎上】がいくら面白くても、それは効果を発揮しない。大人の映画なので、壁の向こう側にあるからだ」

「どこが大人の映画なの?」

「中二病展開が少ない。突然自衛隊の秘密ドックから超兵器が発進したりしない。敵と味方の軸も曖昧だ。船長とテロリストのリーダーは対立しながらも語り合って何かの相互理解には達してしまうのだが、2人とも言うことを聞かない部下という同じ問題を抱える」

「それだけ?」

「そして、特撮はあくまで作中での特撮なのだ。あくまでテロリストの要求を飲んだふりをする欺瞞として使用される要素なのだ。だからこの映画には特撮スタッフの皆さんが登場人物として出てくる。特撮が二重虚構なんだよ」

「分かった。つまり、虚構を二重にするというひねりを入れると、それだけで付いてこられない観客が多いわけだね」

「そうだ。だから、洋画の【アルゴ】だって、語ってる人は少ないぞ。二重フィクションは難しいのだ」

「なぜ難しいの?」

「一般化すれば【メタの恐怖】って奴だな。その話題は黒猫放談に書いたな」

「二次創作は盛んではないの?」

「二次創作と二重フィクションはまったくの別物だからね」

特撮史問題 §

「日本特撮は、日本沈没でヒットしたはずだ。日本沈没の次がノストラダムスの大予言で、その次が東京湾炎上という時系列だ」

「どこで壁を越えてしまったのだろう?」

「わだつみ、ケルマデックというスーパーメカが活躍する日本沈没はまだ通俗的な共感を得られる世界にいたのだろうが、スーパーメカ不在のノストラダムスの大予言ではもう壁を越えていたような気がする」

「客が見たかったのは、多重に出てくる虹ではないってことだね」

「その路線を突きつめると巨大タンカーの存在感で勝負できるわけだが、巨大タンカーをヒーロー扱いする発想そのものが客にないわけだ」

「客はあくまでちゃちな模型の戦艦大和が見たいわけだね」

「実際の映像は本物のタンカーの方が圧倒的だけどな」

「でも戦艦大和は安心して見られるヒーローとしての記号なのだね?」

「だからいくら子供っぽくなろうと、戦艦大和をシンボルとして導入した宇宙戦艦ヤマトの勝ち」

「結局最後はヤマトかい」

オマケ §

「日本沈没もノストラダムスの大予言も当時見た君が東京湾炎上を見ていない理由はなんだい?」

「まだ1975年当時、子供だったからな。オヤジが連れて行ってくれないと映画なんて見られなかった」

「自分で見に行った最初の映画は?」

「おそらく、1977年のヤマトが最初」

「それより手前の映画なのか!」

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