2014年12月25日
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三百字小説『殺人集団サンマ団』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 サンマ団は殺人集団だった。

 しかし、人が人を殺すのは後味が悪い。そこで、魚類のサンマをスカウトし、殺人集団を結成したのだった。

 「みんな恐怖に怯えている頃だろう」

 「大変です。人類がサンマに報復を始めました。次々とサンマが塩焼きにされて食べられています」

 「なんだって!?」

 サンマ達はパニックになった。

 サンマ団に入っていないサンマまで食べられては恐怖のどん底だ。

 サンマ達は人類の漁船から逃れるべく、目黒川を遡上した。

 一方の人類はサンマ団の存在など知らず、普通にサンマを捕って食べていただけだった。人類はいたって平和だった。

 「やはりサンマは目黒に限る」

 「なぜ目黒でサンマが捕れるのでしょうね?」

 「知らん」

(遠野秋彦・作 ©2014 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦