サンマ団は殺人集団だった。
しかし、人が人を殺すのは後味が悪い。そこで、魚類のサンマをスカウトし、殺人集団を結成したのだった。
「みんな恐怖に怯えている頃だろう」
「大変です。人類がサンマに報復を始めました。次々とサンマが塩焼きにされて食べられています」
「なんだって!?」
サンマ達はパニックになった。
サンマ団に入っていないサンマまで食べられては恐怖のどん底だ。
サンマ達は人類の漁船から逃れるべく、目黒川を遡上した。
一方の人類はサンマ団の存在など知らず、普通にサンマを捕って食べていただけだった。人類はいたって平和だった。
「やはりサンマは目黒に限る」
「なぜ目黒でサンマが捕れるのでしょうね?」
「知らん」
(遠野秋彦・作 ©2014 TOHNO, Akihiko)