「昔は気にもしないで聞き流していたが、ちょっと気になった」
「何だよ」
「ダイヤモンド大陸のホワイトキャッスルって何?」
「イスカンダルの地名だろう?」
「元ネタは?」
「は?」
「実は、気づいてしまったのだ。ハワイのオアフ島には以下の2つの場所がある」
- ダイヤモンドヘッド
- ホワイト・プレイズ・ビーチ (White Plains Beach)
「ダイヤモンド、ホワイトが共通するわけだね」
「一夜にして大陸が沈むアトランティス伝説と合体して、ダイヤモンド大陸に化けたのかも知れない」
「なんでキャッスルがビーチなんだよ」
「上陸する場所だからさ」
「つまりなんだい?」
「当初構想された段階で、イスカンダルはアレクサンドリアで、アトランティスのように沈む島が地中海にあった、というイメージで書かれたものと思う。アトランティス=サントリーニ島説がバックにあるのではないか。サントリーニ島ならアレクサンドリアから遠くない。しかし、多くの人の手によって実際に映像化されたとき、途中から地中海のイメージがハワイのイメージにすり替わったのではないか」
「それは、シナリオにはダイヤモンド大陸の言葉が無いってことかい?」
「いや、調べたらあった」
「つまりなんだい?」
「藤川桂介さんがイスカンダルを地中海風にイメージしたのはおそらく確かだろうと思うのだが、この第25話のシナリオは山本暎一なので、実はそこに微妙な食い違いがあったのかもしれない」
「つまり、美女が待つ美しい南の海として、地中海をイメージするかハワイをイメージするかだね」
「まあ、日本人にはハワイの方がずっと馴染みが深いからね」
「なるほど」
「シナリオには多島海という言葉も見られるが、これは地中海というよりも、ハワイ諸島っぽいイメージの感じだ。でも、イスカンダルのビジュアルは海が多く一部に島が集中している多島海に近い感じなので、イスカンダルのビジュアルからすればハワイ解釈も間違っているとは言えない感じだ」
「矛盾してるね」
「そう。スターシャは、あくまで金髪で西洋人の感じ。ハワイ王国の王女ではない。全体として矛盾と分裂を孕んでいるが、そこは問題にされない」
「なんで問題にされないの?」
「イスカンダルという架空の土地には正解が存在しないからさ」
「ぎゃふん」