「声優古川登志夫さんといえば」
「いえば?」
「演じたのは、うる星やつらの諸星あたるが代表的なキャラクターだろうな」
「それにどんな意味があるの?」
「うん。古川さんは2枚目半を演じることが多い。しかし、これは最も難しい」
「どう難しいの?」
「2枚目半とは、2枚目と3枚目の中間を演じることではなく、2枚目と3枚目を往復することを意味するからだ。そのシーンで要求されるキャラがどちらなのかを瞬間的に察知してそれに応じて演技を変えねばならない。難しい役柄だと思うよ」
「それを問題なくこなせる古川さんは大物だと思うわけだね」
「そうだな。だがここまでは以前から考えていた古川論に過ぎない」
「というと?」
「そこから逆算してヤマトのことを考えたい」
「ヤマト?」
「古川さん、ヤマト的に言うと坂本と揚羽を演じているのだ」
「それがどうした?」
「坂本というのは、軽くて格好を付けたがるが、実はパンツ1枚で艦内を走るギャグキャラでもある」
「なるほど。2枚目半的なのか」
「ならば揚羽はどうだろうか。2枚目の印象が強い揚羽だが、もしや3枚目的な側面があるのではないか。いずれ、ヤマトIIIを見て確認してみようと思う」
「なんでいずれなんだよ」
「全部見たら凄い時間を食われるからさ!」
ってわけで §
「新たなる旅立ちをチェックして坂本の声を聞いたが、これはとても諸星あたるには思えない。カイ・シデンにも思えない」
「じっくり注意して聞いたら?」
「そう言われて聞くと、確かに古川登志夫っぽいテイストもある」
「聞いたら一発で分かるXX声にはなっていないわけだね」
「そうそう。かなり異質。まだ演技をどうするか試行錯誤があった時期だと思う」