2015年05月13日
トーノZEROアニメ感想宇宙戦艦ヤマトtotal 772 count

ヤマトの始まり方の問題・なぜ始まり方の傑作があるのか

Written By: トーノ・ゼロ連絡先

「ヤマトの始まり方を見ていると、実は2パターンある」

「どんなパターンだい?」

  • 説明不十分のまま最初のクライマックスに突入する (パターンA)
  • 1から状況が開始される (パターンB)

「それぞれの具体例を出してくれ」

「たとえばヤマト完結編は、ヤマトが目的地に到着する直前から始まる。これはパターンAなんだ。地球艦隊の決戦から始まるヤマト1974もパターンA。デスラーがいきなり戦闘を始める新たなる旅立ちもパターンA。最初から冥王星の決戦で始まる追憶の航海もパターンA」

「パターンBは?」

「ヤマトよ永遠にはパターンBになる。重核子爆弾の飛来と地球占領から始まる」

「それだけ? 他には?」

「微妙なのがさらば宇宙戦艦ヤマトとヤマト2で、さらば宇宙戦艦ヤマトはパターンAに近いが、ヤマト2はパターンBに近い」

「それはどういう意味?」

「さらば宇宙戦艦ヤマトは、白色彗星の襲撃を描いて始まるのだが、ヤマト2になると状況説明から始まるのだ」

「他に微妙なものがある?」

「実はヤマト1974の第1話とヤマト2199の第1話はほとんど同じ流れで物語が進行するにも関わらず、ヤマト1974の第1話は【地球艦隊物語のクライマックス】を描いているのに、ヤマト2199の第1話は【ヤマトの物語の開始】を描いているのだ」

「それは、地球艦隊が負ける理由が【ただの敗北】か、【波動コアを受け取るための陽動】かってことだね」

「そうだ。【ただの敗北】なら物語の決着だ。だが、【波動コアを受け取るための陽動】なら物語はここから始まる」

「では、どちらのパターンが良いの?」

「ここからは物語作りのテクニカルな話になるぞ」

「いいとも」

「物語の構造を起承転結として捉える場合、それらには一定の役割がある」

「どんな役割だい?」

  • 起・物語に心が入っていない客の心を掴んで物語に引き込む
  • 承・物語を理解するための状況を説明する。ダレ場
  • 転・ちゃぶ台返し。説明した状況の否定
  • 結・読者に一定の納得を与え、物語を終わらせる

「それで?」

「この場合、物語の始まりとは【起】に他ならず、そこでは【物語に心が入っていない客の心を掴んで物語に引き込む】という機能性が必須になってくる。だからたいていの映画は最初と最後に派手な見せ場が入る。小説でも書き出しの1文や、最初の数枚が重視される。そこでは、全体の物語の流れと切り離して、客を引き込む努力が必要とされる」

「だからなに?」

「うん。だからさ、そういう意味で途中からグダグダになって行くが始まりだけなら完結編は最高なんだ。いきなり、宇宙の危機が進行中で、その渦中にヤマトがいる。その山地が目にするのは崩壊したデスラーパレス。花束を投げる古代。結末でもおかしくない凄い展開が続々と押し寄せてきて、確かに凄いのだ」

「じゃあさ。パターンBのヤマトよ永遠にならどうなんだ?」

「最初の飛んでくる重核子爆弾の機能性が映像で見ても所見の人には良く分からない」

「重核子爆弾の機能性ってなんだい?」

「脳みそをトコロテンにすること。(アニメ版では伸びたラーメン)」

「いやいや。その額の第3の目はしまってくれ」

「そうか。残念だな。まあともかく、脳みそがトコロテンになっても映像的に良く分からないし、そもそも結果も映像になっていない。結局、何か飛んできて居座っただけで、それが何を意味するのか良く分からない」

「でもさ。ストーリーが分かりにくいって苦情は無いよ」

「それは、そのすぐ後に黒色の部隊が降下してきて占領されるからさ。それは分かりやすい。でも、ワンテンポ遅いんだ」

「三脚戦車を見れば誰でも【あ、火星人だ】と分かるわけだね」

「火星人じゃねえよ」

「でも遅いんだね?」

「ちょい遅い」

「では、どうすれば良かったと思う?」

「たとえばね。開始直後に重核子爆弾を巡ってヤマト対黒色艦隊の戦闘があり、ヤマトは撃破される。破損したヤマトはイカルスのドックに収容され、重核子爆弾はそのまま地球へ、という展開だと良かったと思うよ。そうすると、ヤマトが復活して再戦して勝利する動機付けも設定できる」

「古代は?」

「そうだ。古代らが乗っていなかったからヤマトは負けた。だが、古代らがイカルスに駆けつけたことでヤマトは本来の力を取り戻す……という話だと分かりやすかったかもしれない。今のままだと【最強のヤマトが復活したら敵をすべてなぎ倒して勝てました、おしまい】という起伏が乏しい物語にしかならないからだ」

「残念なのだね」

「そうだな。ヤマトよ永遠にも改めて再編集するだけでかなり印象を変えられると思うよ。バックグラウンドの発想は悪くないんだよ」

「再編集と言えば、追憶の航海も微妙だね。元になったヤマト2199はパターンBなのに、パターンAだろ?」

「そう。パターンBはいかにも素人臭いし、これから26回分のアニメ放送を見てもらうにしては少し掴みが弱い。そこの弱点を見事に補正したのが追憶の航海ってことだ」

「方舟は?」

「その話はまたこんどな」

「また逃げた。艦長、逃げるんですか!」

「間違えるな古代。ワープは逃げるのではない。脱げるんだ。森君が」

「分かりました艦長。島、ワープだ!」

「バキッ!!☆/(x_x)」

オマケ §

「復活篇もパターンAで、物語の作り方としては正しい」

「最大級の虐殺シーンがいきなり入ってくるわけだね」

「惜しいのは相手の正体を確認する前に敵と断言しちゃうところだが、そこはDC版で順番が直っている」

「なるほど。その辺は特に文句は無いわけだね」

「復活篇はほとんど問題らしい問題は無い。個別の些細な問題しかない。大筋ではちゃんと映画になってる」

「じゃあ、2199が問題だってことなのかい?」

「2199の話は横におこう。それよりも問題は完結編だ」

「完結編はパターンAだろう?」

「そうだ。だが惜しいことが1つある」

「それはなんだい?」

「デスラーパレスと崩壊とディンギルの崩壊という2つの崩壊が立て続けに起こって印象を弱めてしまっている感じもある」

「そこは惜しいといえば惜しいわけだね」

「そうだ。そもそもデスラーパレスと崩壊の原因は銀河衝突、ディンギルの崩壊の原因はアクエリアスで違うわけだし。もしも、出現した銀河からアクエリアスが出てきたってことなら話がまとまるが、そうすると種蒔き回遊惑星という設定と整合しなくなる。難しいね」

「デスラーとガルマンは出ない方が良かった?」

「いや。ヤマトは宇宙の良心なのだというセリフはあった方が良いので、やはりデスラーの出番は削れない。献花と、花を持ったデスラーの登場は外せない」

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「ヤマトの始まり方を見ていると、実は2パターンある」

「どんなパターンだい?」

  • 説明不十分のまま最初のクライマックスに突入する (パターンA)
  • 1から状況が開始される (パターンB)

「それぞれの具体例を出してくれ」

「たとえばヤマト完結編は、ヤマトが目的地に到着する直前から始まる。これはパターンAなんだ。地球艦隊の決戦から始まるヤマト1974もパターンA。デスラーがいきなり戦闘を始める新たなる旅立ちもパターンA。最初から冥王星の決戦で始まる追憶の航海もパターンA」

「パターンBは?」

「ヤマトよ永遠にはパターンBになる。重核子爆弾の飛来と地球占領から始まる」

「それだけ? 他には?」

「微妙なのがさらば宇宙戦艦ヤマトとヤマト2で、さらば宇宙戦艦ヤマトはパターンAに近いが、ヤマト2はパターンBに近い」

「それはどういう意味?」

「さらば宇宙戦艦ヤマトは、白色彗星の襲撃を描いて始まるのだが、ヤマト2になると状況説明から始まるのだ」

「他に微妙なものがある?」

「実はヤマト1974の第1話とヤマト2199の第1話はほとんど同じ流れで物語が進行するにも関わらず、ヤマト1974の第1話は【地球艦隊物語のクライマックス】を描いているのに、ヤマト2199の第1話は【ヤマトの物語の開始】を描いているのだ」

「それは、地球艦隊が負ける理由が【ただの敗北】か、【波動コアを受け取るための陽動】かってことだね」

「そうだ。【ただの敗北】なら物語の決着だ。だが、【波動コアを受け取るための陽動】なら物語はここから始まる」

「では、どちらのパターンが良いの?」

「ここからは物語作りのテクニカルな話になるぞ」

「いいとも」

「物語の構造を起承転結として捉える場合、それらには一定の役割がある」

「どんな役割だい?」

  • 起・物語に心が入っていない客の心を掴んで物語に引き込む
  • 承・物語を理解するための状況を説明する。ダレ場
  • 転・ちゃぶ台返し。説明した状況の否定
  • 結・読者に一定の納得を与え、物語を終わらせる

「それで?」

「この場合、物語の始まりとは【起】に他ならず、そこでは【物語に心が入っていない客の心を掴んで物語に引き込む】という機能性が必須になってくる。だからたいていの映画は最初と最後に派手な見せ場が入る。小説でも書き出しの1文や、最初の数枚が重視される。そこでは、全体の物語の流れと切り離して、客を引き込む努力が必要とされる」

「だからなに?」

「うん。だからさ、そういう意味で途中からグダグダになって行くが始まりだけなら完結編は最高なんだ。いきなり、宇宙の危機が進行中で、その渦中にヤマトがいる。その山地が目にするのは崩壊したデスラーパレス。花束を投げる古代。結末でもおかしくない凄い展開が続々と押し寄せてきて、確かに凄いのだ」

「じゃあさ。パターンBのヤマトよ永遠にならどうなんだ?」

「最初の飛んでくる重核子爆弾の機能性が映像で見ても所見の人には良く分からない」

「重核子爆弾の機能性ってなんだい?」

「脳みそをトコロテンにすること。(アニメ版では伸びたラーメン)」

「いやいや。その額の第3の目はしまってくれ」

「そうか。残念だな。まあともかく、脳みそがトコロテンになっても映像的に良く分からないし、そもそも結果も映像になっていない。結局、何か飛んできて居座っただけで、それが何を意味するのか良く分からない」

「でもさ。ストーリーが分かりにくいって苦情は無いよ」

「それは、そのすぐ後に黒色の部隊が降下してきて占領されるからさ。それは分かりやすい。でも、ワンテンポ遅いんだ」

「三脚戦車を見れば誰でも【あ、火星人だ】と分かるわけだね」

「火星人じゃねえよ」

「でも遅いんだね?」

「ちょい遅い」

「では、どうすれば良かったと思う?」

「たとえばね。開始直後に重核子爆弾を巡ってヤマト対黒色艦隊の戦闘があり、ヤマトは撃破される。破損したヤマトはイカルスのドックに収容され、重核子爆弾はそのまま地球へ、という展開だと良かったと思うよ。そうすると、ヤマトが復活して再戦して勝利する動機付けも設定できる」

「古代は?」

「そうだ。古代らが乗っていなかったからヤマトは負けた。だが、古代らがイカルスに駆けつけたことでヤマトは本来の力を取り戻す……という話だと分かりやすかったかもしれない。今のままだと【最強のヤマトが復活したら敵をすべてなぎ倒して勝てました、おしまい】という起伏が乏しい物語にしかならないからだ」

「残念なのだね」

「そうだな。ヤマトよ永遠にも改めて再編集するだけでかなり印象を変えられると思うよ。バックグラウンドの発想は悪くないんだよ」

「再編集と言えば、追憶の航海も微妙だね。元になったヤマト2199はパターンBなのに、パターンAだろ?」

「そう。パターンBはいかにも素人臭いし、これから26回分のアニメ放送を見てもらうにしては少し掴みが弱い。そこの弱点を見事に補正したのが追憶の航海ってことだ」

「方舟は?」

「その話はまたこんどな」

「また逃げた。艦長、逃げるんですか!」

「間違えるな古代。ワープは逃げるのではない。脱げるんだ。森君が」

「分かりました艦長。島、ワープだ!」

「バキッ!!☆/(x_x)」

オマケ §

「復活篇もパターンAで、物語の作り方としては正しい」

「最大級の虐殺シーンがいきなり入ってくるわけだね」

「惜しいのは相手の正体を確認する前に敵と断言しちゃうところだが、そこはDC版で順番が直っている」

「なるほど。その辺は特に文句は無いわけだね」

「復活篇はほとんど問題らしい問題は無い。個別の些細な問題しかない。大筋ではちゃんと映画になってる」

「じゃあ、2199が問題だってことなのかい?」

「2199の話は横におこう。それよりも問題は完結編だ」

「完結編はパターンAだろう?」

「そうだ。だが惜しいことが1つある」

「それはなんだい?」

「デスラーパレスと崩壊とディンギルの崩壊という2つの崩壊が立て続けに起こって印象を弱めてしまっている感じもある」

「そこは惜しいといえば惜しいわけだね」

「そうだ。そもそもデスラーパレスと崩壊の原因は銀河衝突、ディンギルの崩壊の原因はアクエリアスで違うわけだし。もしも、出現した銀河からアクエリアスが出てきたってことなら話がまとまるが、そうすると種蒔き回遊惑星という設定と整合しなくなる。難しいね」

「デスラーとガルマンは出ない方が良かった?」

「いや。ヤマトは宇宙の良心なのだというセリフはあった方が良いので、やはりデスラーの出番は削れない。献花と、花を持ったデスラーの登場は外せない」

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