「ああ。分かった。今見ているものが何か分かった」
「それは何だよ」
「山田ミネコのパトロールシリーズの西塔小角とセラフィムの恋の物語と同じ構造なのだよ」
「というと?」
「これから何もかも始まるという若造の小角の前に、何もかも終わる寸前の大人のセラフィムが訪れて、それから物語の終焉を見る。それから、終わりを知ってしまった小角が、まだこれから人生を始める幼いセラフィムに出合うのだよ」
「刀太とキティの関係もそんなものだというわけだね」
「そうだ。全てを経験した後の雪姫と、全てはこれからの刀太は暮らしていた。しかし、今ここでややこしい状況を飲み込んだ後の刀太が、何もかもこれから始まるキティと出会ってしまった」
「ふーん。それに何か意味があるわけ?」
「あるとも。あれは好きだったんだ。そしてこれも好きだ。結局、おなじところに戻ってしまった感じがある」
「UQ HOLDERの方の今回の感想は?」
「戦ったあとの痕跡が白黒マーク。面白いね。それから恐怖の卒業証書授与。本当に恐い。表現が上手いね」
結局 §
「結局、山田ミネコ作品と赤松健作品は持ち味が近い場合があるってことは良く分かった」
「他にも似ている部分があるの?」
「けっこう、登場人物の心の底を見透かして、ずかずか入り込んでくるところがある。どちらの作品にもね。だが、そこは作品の魅力だよ」
「それだけ?」
「山田ミネコの最終戦争シリーズは、複数の作品群をまたがる大長編だ。話は繋がっているのだが主人公は必ずしも同じではない。そういう意味で、ネギま!とUQ HOLDERの関係もそれに近い」
「まだある?」
「明日菜の位置づけと合歓の位置づけが近いような気がする。特異な存在としての作品の軸になる特別なヒロインだ」
「なるほど。君が喜んで赤松作品を読むわけだね」