「感想は?」
「多羅尾坂内(1978)よりも面白かったと思うが、資料によると客が入らずこけたらしい」
「それから?」
「信州が舞台。INA BUSは伊那バスだと思うので、スカ色の旧国は飯田線?」
「知らん」
「キューティーハニーと音楽に似ているところがある。ちゃらーんという音とか」
「ちゃらーんじゃ、ワカラン」
「で、ここからが本題。ルパン三世カリオストロの城のうち、旧ルパン、多羅尾坂内(1978)に含まれない要素のかなりの部分がこの映画にあった。あまりにも多いのでこっちがビビってしまったほどだ」
「どんな要素?」
- 好きでも無い男との強制結婚
- 狭い1つの地方の中だけで完結
- 走ってくるパトカー
- 過去の因縁話
- 映画冒頭で帰ってくる若い女性
- モチーフになる水車。人がそれに沿って出てくる。(カリ城では水道内にある)
- からくり人形はからくり時計に対応する
- 格下者が格上の者に怨みを頂いて家を乗っ取って財産を得ようとする
- 絵画というモチーフ
- 隠し扉。背後に秘密の部屋。そこにいる女
- 和尚様 (大司教)
- 白い服のヒロイン
- 響き渡る笑い声
- 火の付いた蝋燭の山
- 警官隊の突入
- コマ (カリ城ではその代わりに時代をつなぐアイテムとして指輪)
- 鬼面村のお面の代わりに殺し屋のマスク
- 大人気シリーズ2作目 (小林旭主演多羅尾坂内としては2本目)
- 期待された良作映画なのに、興業でこけた
「それだけ?」
「実はカリオストロの城につながらない別の要素があった」
「それは何だい?」
「これらの件に関する感想は?」
「本当に恐ろしい穴を見た気分だよ。ずっと見落としていた穴だ」
「ヤマトの底を踏み抜いただけでなく、宮崎駿映画の底も踏み抜いたわけだね」