「ホモ要素を除外しても面白かったので、この話題を扱おう」
「どんな話題?」
「この同人誌の解釈では、デスラーからドメルへの通信は本音ではない。臣下全員が騒いでいる状況下で、彼らの言い分を代弁しなければならない」
「独裁者なのに?」
「話を簡単にするために問題を立て直そう」
「どんな風に?」
「独裁者は無制限に臣下を殺せるだろうか? デスラーは違うのだろうか?」
「デスラーは酔っ払った部下を穴に落としたよね?」
「そうだ。彼は臣下を殺した。おそらくな」
「シュルツにも死ねと言ったね」
「そうだ。死を要求した」
「独裁者は臣下に死を要求できるものではないの? それが独裁なんだろう?」
「うむ。そこがポイントだ」
「というと?」
「実は、独裁者は自由に臣下を殺せない」
「なんで?」
「国家を成立させるには人間が必要で、統治には優秀な人間が必要だからだ。それゆえに、国家運営に支障がでない1人や2人ならば、いつでも殺すことができる。あるいは、前線の1部隊ぐらいなら、いつでも抹殺できる」
「抹殺できるのだろう?」
「国家運営に支障が出ないうちはな」
「というと?」
「国家運営に支障が出る規模では粛正を実行できない。それをやると国家が傾く。独裁者は国家あっての独裁者だ。国家を滅ぼすような選択肢はありえない。そのような状況下では、独裁者の方が譲歩せざるを得ない」
「それって、冷酷な独裁者のイメージに反するよ」
「そうかもしれないが、それも事実だ」
「デスラーもそうなの?」
「そうだという解釈で描かれているのがこの同人誌だ」
「でもさ。デスラーは本土決戦ではガミラスを滅ぼすような戦い方をしたよ」
「それはね。ドメルが死んだ後、彼は狂ったという解釈なのだよ」
「狂っていれば自滅的な戦い方も可能ということだね」
彗星帝国は §
「彗星帝国の場合、大帝はいかに嘘つきの部下であろうとも、あっさりと粛正はできなかった」
「サーベラーはかなり野放しだったわけだね」
「やはり大帝といえど、簡単に部下は切り捨てられない」
「分かった。デスラーも酔っ払いだけならすぐに消せるが、タラン、ヒス級の大物になると簡単には消せないのだね」
「そうだろう」
「つまり、そのクラスの大物までざわざわしていたら、それを無視はできないわけだね」
「だがドメルに死刑判決が出た場合は話が変わる」
「死刑は困るわけだね」