2016年06月03日
トーノZEROアニメ感想宇宙戦艦ヤマトtotal 559 count

続・起承承承の罠と宇宙戦艦ヤマト

Written By: トーノ・ゼロ連絡先

「実は1つ重要なことに気づいた」

「それはなんだい?」

「起承承承には転と結がない。転は【ヤマ場】と言っても良い。決は【オチ】と言っても良い」

「それで?」

「やおいの元の意味は「ヤマ無し」「オチ無し」「イミ無し」なんだよ」

「ちょっと待て。ヤマ無しオチ無しの部分が完全にかぶっているじゃないか」

「そうだよ」

「残ったのは辛うじて意味だけか」

「それが設定語りの承に対応するのだろう」

「つまり、【起承承承】はまだしも意味があるだけ【やおい】よりマシってことか?」

「それはどうかねえ。誰かの頭で考えた設定を語っているだけなら意味なんて無いぞ」

「なんてこった!」

「たとえばね。ルガールが古代の目の前で息子を殺してしまうのは単なる設定語り。それが意味を持つためには、ルガールと古代が対決して決着を付ける必要があるのだが、実は完結編はそれをやらない。ヤマトも古代もルガールと戦わない。デスラーが戦う。物語的には意味が無い」

「息子を殺して複雑な表情を見せるルガールはいいの?」

「そこは良いシーンだ。良いシーンだが【良いシーン】でしかない。物語的には孤立しているのだよ」

「ちょっと待て。恐い考えになってきた」

「だろう?」

「つまり、意味を持たない設定語りだけの起承承承とは、本当に【やおい(ヤマ無しオチ無しイミ無し)】の別名に過ぎないのか」

編集者対描き手 §

「で、WikiPedia似面白いことが書いてある」

もともとはラヴリ内で「山なし・落ちなし・意味なし」「やおい」という表現が自然発生的に出現したもので、その背景には当時の編集者はストーリー構成に厳しく山・落ち・意味をきちんと備えたものを書かなければならないという強迫観念が描き手にあったのだという。

「これがどう面白いんだい?」

「ここには【ストーリー構成に厳しい編集者】と【それに脅迫観念を持つ描き手】が登場する。しかし、物語がストーリー構成に厳しいのは当たり前なのだ」

「なぜ当たり前なの?」

「それはね。山があって落ちがあって、作品に意味があるならば、感情移入できなくても読めるからだ。それだけ読者の間口が広がる。しかし、単に語りが続くだけなら感情移入できなかった読者は脱落するからだ。それが本来物語の【当たり前】だ」

「じゃあ、なぜ描き手は当たり前に強迫観念を抱くの?」

「当たり前だと思っていないからだ。つまり、【共感】が当然の前提として存在するわけだ」

「それはもっと噛み砕いて言うとどういうこと?」

「編集者は不特定多数に対して開かれた作品を意図しているが、描き手はタコツボの中の仲間しか意識していない。ただし、タコツボは十分に巨大なマスなので、それ以上タコツボを広げる機運には乏しい。いや、むしろタコツボと世界を同一視する錯覚すらあるかもしれない」

「つまり、彼女らにとって不必要なものを強制する編集者に強迫観念を抱いてもおかしくないわけだね?」

「そうだ。でも、それは必ずしも不必要とは言えない」

「ヤマ無しオチ無しイミ無しという価値観はかつて女性ファン層がメインだったが、今は男性層にも広がっているわけだね?」

「だろうな」

「でも、それでみんなが満足するならいいじゃないか」

「してないよ。それで納得するのはオタクだけ」

「ぎゃふん」

そしてフネは行く §

「で、ここで最も皮肉なのは、本来女性ファン層が提示した【共感できない人間は存在しないものとして扱う】という価値観をヤマト2199のグッズ展開が忠実に実行し、結果として女性ファンが置いて行かれてしまったことだ」

「画面にも出てこない独自設定の森雪フィギュアはいくらでも発売されるのに、古代進フィギュアはほとんど出てこないアンバランスな商品展開だね」

「そう。古代進ファンが支えたヤマトというタイトルなのに、ここで彼女らが置いてきぼりになる皮肉な展開」

「でも、【共感できない相手は置き去りにされる】価値観が本来の【やおい】だとすれば、自業自得ではないの?」

「全てがそうとは言えないが、一部はそうかもしれない」

オマケ §

「で、何が問題なんだい?」

「ヤマ無しオチ無しイミ無しは、同人誌としては間違っているわけでもない。素人が物語を完結させるのは難しいし、させる意味も希薄だ。そもそも共感できない人間は買わない世界だ」

「でも、商業出版物としては問題があるわけだね?」

「そう。共感できない人間が買ってしまうかも知れないが、対価に相応しい結果を提供しなければならない」

「頒布と販売の差だね」

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宇宙戦艦ヤマト

宇宙戦艦ヤマトとその時代【Kindle版電子書籍】 §

 宇宙戦艦ヤマト成立の時代背景を検証した研究書です。ブログに書いていない話題も多く収録しています。是非お読みください。Android/iPhone/iPad/Windows PCなどですぐ読めます。Webブラウザ用のリーダーもAmazonから提供されています。

同人小説(PDF形式、無料ダウンロード可能) §

小説推理サイボーグシリーズ (PDF形式、無料ダウンロード可能) §

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「実は1つ重要なことに気づいた」

「それはなんだい?」

「起承承承には転と結がない。転は【ヤマ場】と言っても良い。決は【オチ】と言っても良い」

「それで?」

「やおいの元の意味は「ヤマ無し」「オチ無し」「イミ無し」なんだよ」

「ちょっと待て。ヤマ無しオチ無しの部分が完全にかぶっているじゃないか」

「そうだよ」

「残ったのは辛うじて意味だけか」

「それが設定語りの承に対応するのだろう」

「つまり、【起承承承】はまだしも意味があるだけ【やおい】よりマシってことか?」

「それはどうかねえ。誰かの頭で考えた設定を語っているだけなら意味なんて無いぞ」

「なんてこった!」

「たとえばね。ルガールが古代の目の前で息子を殺してしまうのは単なる設定語り。それが意味を持つためには、ルガールと古代が対決して決着を付ける必要があるのだが、実は完結編はそれをやらない。ヤマトも古代もルガールと戦わない。デスラーが戦う。物語的には意味が無い」

「息子を殺して複雑な表情を見せるルガールはいいの?」

「そこは良いシーンだ。良いシーンだが【良いシーン】でしかない。物語的には孤立しているのだよ」

「ちょっと待て。恐い考えになってきた」

「だろう?」

「つまり、意味を持たない設定語りだけの起承承承とは、本当に【やおい(ヤマ無しオチ無しイミ無し)】の別名に過ぎないのか」

編集者対描き手 §

「で、WikiPedia似面白いことが書いてある」

もともとはラヴリ内で「山なし・落ちなし・意味なし」「やおい」という表現が自然発生的に出現したもので、その背景には当時の編集者はストーリー構成に厳しく山・落ち・意味をきちんと備えたものを書かなければならないという強迫観念が描き手にあったのだという。

「これがどう面白いんだい?」

「ここには【ストーリー構成に厳しい編集者】と【それに脅迫観念を持つ描き手】が登場する。しかし、物語がストーリー構成に厳しいのは当たり前なのだ」

「なぜ当たり前なの?」

「それはね。山があって落ちがあって、作品に意味があるならば、感情移入できなくても読めるからだ。それだけ読者の間口が広がる。しかし、単に語りが続くだけなら感情移入できなかった読者は脱落するからだ。それが本来物語の【当たり前】だ」

「じゃあ、なぜ描き手は当たり前に強迫観念を抱くの?」

「当たり前だと思っていないからだ。つまり、【共感】が当然の前提として存在するわけだ」

「それはもっと噛み砕いて言うとどういうこと?」

「編集者は不特定多数に対して開かれた作品を意図しているが、描き手はタコツボの中の仲間しか意識していない。ただし、タコツボは十分に巨大なマスなので、それ以上タコツボを広げる機運には乏しい。いや、むしろタコツボと世界を同一視する錯覚すらあるかもしれない」

「つまり、彼女らにとって不必要なものを強制する編集者に強迫観念を抱いてもおかしくないわけだね?」

「そうだ。でも、それは必ずしも不必要とは言えない」

「ヤマ無しオチ無しイミ無しという価値観はかつて女性ファン層がメインだったが、今は男性層にも広がっているわけだね?」

「だろうな」

「でも、それでみんなが満足するならいいじゃないか」

「してないよ。それで納得するのはオタクだけ」

「ぎゃふん」

そしてフネは行く §

「で、ここで最も皮肉なのは、本来女性ファン層が提示した【共感できない人間は存在しないものとして扱う】という価値観をヤマト2199のグッズ展開が忠実に実行し、結果として女性ファンが置いて行かれてしまったことだ」

「画面にも出てこない独自設定の森雪フィギュアはいくらでも発売されるのに、古代進フィギュアはほとんど出てこないアンバランスな商品展開だね」

「そう。古代進ファンが支えたヤマトというタイトルなのに、ここで彼女らが置いてきぼりになる皮肉な展開」

「でも、【共感できない相手は置き去りにされる】価値観が本来の【やおい】だとすれば、自業自得ではないの?」

「全てがそうとは言えないが、一部はそうかもしれない」

オマケ §

「で、何が問題なんだい?」

「ヤマ無しオチ無しイミ無しは、同人誌としては間違っているわけでもない。素人が物語を完結させるのは難しいし、させる意味も希薄だ。そもそも共感できない人間は買わない世界だ」

「でも、商業出版物としては問題があるわけだね?」

「そう。共感できない人間が買ってしまうかも知れないが、対価に相応しい結果を提供しなければならない」

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