「新宿シネマカリテまで行って見てきた」
「それで?」
「面白かったー」
「具体的な感想は?」
「うん。ウルトラQかセブンかと言っていた人もいるが、言いたいことは良く分かる。その上で、おいらは少年ドラマシリーズか未知との遭遇と答えたい」
「はぁ?」
「いや、もう少年じゃない人たちが主役だから、老年ドラマシリーズか」
「ひぇ~」
「あの【クラスに変な能力を使う異世界の人が紛れ込んでいる感覚】が、学校を団地に置き換えて再現されたようなものだ」
「なるほど」
「もう1つは、やはり昨今のスターウォーズブームに振り落とされて、EP4のミレニアムファルコンだと言われても意味が分からずぽかーんとなって置いてきぼりにされたタイプの未知との遭遇派には救いだろう。エイプリルフールズも帰ってきた未知との遭遇的であったが、映画の本題は関係なかった。でも、こっちは本題と関係する」
「じゃあ、なんだよ」
「未知との遭遇、団地の覚醒……かな」
「ひぃ~」
「第3棟接近遭遇」
「ひぃ~」
映画として §
「映画としては、しょうもない理由で姿を隠すおっさんや、断片的な情報から殺人事件があると思い込む人たちも面白い」
「それで?」
「しかし最大の問題は、あの映画の作中世界が嘘の世界だという情報が織り込まれていることだ。おそらく、息子が死んでいて宇宙人が存在する世界こそは嘘の世界。本当の世界には息子がいて宇宙人は存在しない」
「それにどんな意味があるの?」
「未知との遭遇は、宇宙人が存在してしまった時点で作品が安っぽい。それを回避する方法としては面白いのではないか」
「他には?」
「この映画、全く異なる小林誠さん方面と大山顕さん方面から名前が聞こえてきて興味を持った。しかし見て分かった。これを作った人は両方分かってる。SFドラマに詳しい上に、給水塔や自転車置き場などのカットを含めて団地マニア的な心情も分かっている。だからこそ、本格的団地映画に見せかけつつSFテイストをぶち込める。見事なものだ」