「なぜこれを見ようと思ったの?」
「昔、FINAL FANTASYという映画があってなあ」
「気になっていたの?」
「ちょっとこだわっていた」
「それで、これも見たの?」
「そういうことになる」
「結果は?」
「はるかに出来は良かったと思うよ。映像的にもストーリー的にも」
「それは意外?」
「そうでもない。FF7ACというのもあってなあ。それは非常に出来が良かった」
「では、具体的な感想は?」
「ヒーローではあるが下っ端の兵士と、大義に怒りを感じて離脱したもののも、反体制運動も敵の謀略に過ぎないと知って戻って来たダメ男、それからどこまでも芯が強いお姫様が難民の中を一緒に歩いている光景など、目の付け所は凄く良いと思う。第1障壁の正体と使い方も上手かったと思う」
「出来は良かったわけだね?」
「実は、膨大な設定の厚みがある。中二病的な設定の厚みだ。でも、実はそれらはどうでもいい。要するに帝国との駆け引きとお姫様を救う物語の部分は非常に分かりやすく、それらが分かれば全体の筋が追えてしまうからだ」
「じゃあ、分かったのだね?」
「気持ち良くスカッと見終わるレベルでは理解できた」
「他には何かある?」
「他作品からの影響もけっこうあったと思う。特にICEのツインタワー的な王宮とか、空中戦艦とか、ちょっと小林誠的なデザインの影響もあるような気がした。小林誠さんの顔が透けて見えるところあった」
「それでいいの?」
「結局、金を掛けてきちんと作ってあった、というのが印象。アニメでそこまで行けるのかといえば、けっこう怪しいことも多い」
「センスのあるデザインであろうとも、それが優れたビジュアルに結実するかは別の問題ってことだね」
「それから、日本はどうでも良くて世界マーケットでビジネスをそようと思うと、意外と影響を意識できる先は限られてくる」
「艦これガルパンのような世界は意識してもしょうが無いわけだね」
「そもそも、日本国内ですら通用するか怪しい内容だからな」
「ひぃ~」
「だから、これは世界に通用することから逆算して組み立てられているのだろう。日本的なお約束や萌えは積極的に排除されているのだと思う」
「ストーリーは陳腐じゃないの?」
「そう。お姫様を救う低い階級の戦士というのは、ある意味で陳腐。だけど、見応えはある。なぜなら、様々な思惑の軋轢の中にいる苦悩が確かに描かれているからだ」
「他には?」
「実は主要なメカは自動車なのだが、これも生々しい存在感を意識させるのに役立っている」
「どうして?」
「頭にチョコボを飼っているアフロの兄ちゃんが飛空艇を飛ばしても、生々しい感覚は無いのだが、乗用車に乗っている映像はやはり生々しい。運転を代われと言って自分は身を乗り出せばそれだけでドキドキ感がある」
「飛空艇主体ではないことが良いのだね。じゃあ、バイクはダメなの?」
「バイクだとFF7ACと同じになってしまうよ」
追記 §
「ああ、音楽良いなと思ったらメインテーマ下村陽子さんか」
「知っている名前?」
「フロントミッション以来意識する名前だ」