「シナリオからの台詞起こしをしている際にハッとなったことがある」
「それはなんだい?」
「以下のようなことだ」
- イカルスは宇宙戦士訓練学校である
- 山南は教育一筋の頑固者であり、宇宙戦士訓練学校を担当している
- ヤマトは藤堂から真田に託されていた
- 宇宙戦士のタマゴ達はヤマト修復を手伝っていた
「つまりなんだい?」
「イカルスは本来天文台ではない。あそこは、宇宙戦士訓練学校なのだ。だからイカルスにいた人材は、基本的に教官と学生なのだ。なぜ澪は宇宙戦士として恥ずかしくない訓練を受けていたのか? それはそこが宇宙戦士訓練学校だったからだ」
「なるほど」
「そして、真田はコツコツとヤマトの改造を続け、学生達が手伝っていた。しかし、それは真田の趣味だけということはなく、ヤマトの改良を手伝うことも学生達には勉強になっていたのだろう。事実上、ヤマトは教材であったと思う」
「分かった。本当に地球を救う切り札ならベテラン戦士が乗り組んでいるはずなのに、数が足りないわけだね」
「そうだ。だから真田は古代達を地球から呼ばなければならない。幹部クラスのベテランが足りないからだ」
「でも有事に備えて藤堂は真田にヤマトを託したのではないの?」
「事態の進行が早すぎて、まだ人材が育っていなかったのだろう」
「では校長山南がなぜヤマト艦長になるわけ?」
「人材育成の好機だと思ったからだろう。だから、【その言葉を待っていた】といった発言が出てくる。その言葉を言わねばならないことを、彼は学ばせたかったのだよ。自分の教え子の若者にも、平和ボケした古代ら旧乗組員にも」
「だから、山南は旧乗組員も新人扱いしてビシビシ行くと宣言するわけだね」
「そう。沖田が意地の人、土方が戦士の人だとすれば、山南は教育の人」
オマケ §
「老害を廃して優秀な若者が活躍すれば上手く行く、という世界観はおかしいだろう……と思うなら教育者山南の人格が見えてくる」
「実際には若者の活気と老人の老獪さの両方があってすら上手く行くか怪しいのに活気だけでは上手く行かないわけだね」
「そうだ。そういう世界観で重要なことは人を育てるという観点だ。問題と正しく向き合う人材は育成抜きでは育たない」
「あまりうるさいことを言わず、うしろで見ているだけの山南艦長は、育成型人材ってことだね」
「そうだ。経験させねば人は育たないからな。自分でやらせる」
「でも、古代は後任を託すには頼りないよ」
「あれでも古代は成長しているのだよ。兄貴に弱音を吐かないだけマシになっている」