「デスラーは残忍な性格だろ?」
「そう言われているね」
「でも、必ず殺すわけではない?」
「僅かでもミスをした部下を必ず殺す性格なら実は独裁者になれない」
「どうして?」
「部下が全員消えるからさ」
「ぎゃふん」
「あるいは、側近の全員が結託して引きずり下ろす。側近の全員が結託したら、どんな独裁者もそれを阻止できない」
「つまり、それは何を意味するんだい?」
「実はデスラーの粛正は限定的にしか行われていない」
「敵対派閥だとか、よほどデスラーの機嫌を損ねるとか、そういう理由がないと殺されないって事だね」
「そうだ。通常は、ヒスやタランが取りなして、殺すことは回避していたのだろう」
「じゃあ、なぜシュルツは死なねばならなかったのだ?」
「おそらく、ヤマト撃沈の嘘報告を入れてしまったからだ。さすがにこれは重大問題だ。何らかの懲罰が必要であることに、デスラーもヒスも同意したのだろう。ただし、冥王星基地全員に死ねとまで言ったかは分からない」
「あとから病院船を送っているからだね」
「落とされた男に関しては、ヒスもタランも取りなす時間も無かったし、ある意味で場をわきまえなかったことも事実だからあれはあれで通ってしまった」
「でも、そうではない人たちはすぐに殺されたりはしないと思えたのだね?」
「そうだ。デスラー総統万歳の唱和に参加している限りはな」
「ヒスは殺される可能性に怯えたのだね?」
「そう。ヒスは波動砲をピストルと言って場をわきまえない一言を言ってしまったからね」
「でも殺されなかった」
「それはラッキーだった」
「そうでもない」
「どうして?」
「最後は【場をわきまえない一言】を並べて、射殺されるからだ」
「戦況は有利です。一息入れられては」