「実は1つ気付いたことがある」
「それはなんだい?」
「三部作版小説宇宙戦艦ヤマトと、ベンチャーソフト版大ヤマト零号には個別のタイトルが存在する」
- 三部作版小説宇宙戦艦ヤマト 発進編・死闘編・回天編
- ベンチャーソフト版大ヤマト零号 発進編・哨戒編・青嵐編
「それで?」
「ヤマト2202の章題がちょっと変化球なのは、これと被らないような工夫だったのではないか」
「ヤマト2202の章題はどうなっている?」
- 第一章「嚆矢篇」
- 第二章「発進篇」
- 第三章「純愛篇」
- 第四章「天命篇」
「これらの特徴はなんだい?」
「【編】ではなく【篇】を使っていることと、ストレートに想定しうる用語から外れていること、嚆矢のような意外と難読用語を使っていることが特徴だな」
「それらの理由が紐解ける?」
「何か付けないと売るのに困るが、さりとて過去の何かと似てしまっても困る。だから変化は付けねばならない」
「だから【篇】を使う?」
「復活篇と一続きという錯覚も誘えるしな」
「実際の復活篇は完結編の続きだけどね」
「他にも、明らかにヤマトらしい言葉は既に使われていることが多いから、純愛だとか天命だとか、あまりヤマトらしくない言葉が出てくるのも独自性を出そうとすると止むを得ないところだろう」
「あとから出て行くと使える言葉も制約されてしまうわけだね」
「後発の宿命だ」
「しかし、嚆矢のような意外と難読用語を使う理由はなんだい?」
「おそらく、【青嵐編】に匹敵するもっとまわった言い方を模索した結果がそれではないか」
「なるほど。青嵐に勝てる持って回った言い方の二字熟語を探して嚆矢か」
「まあそういうことだから、ヤマト2202の章題の付け方にも、それなりの根拠は見いだしうるような気はする」
「命名者に質問しないと本当のことは分からない訳だね」
「いや本当のことは言わないかもしれないがな。忘れている可能性もあるし」