「かつて、宇宙戦艦ヤマトファンはいじめられる側ではなかったの?」
「そういう時代もあった」
「90年代ぐらいは酷かったわけだね」
「ヤマトの三文字を言うだけで人格否定された時代だな」
「そういう人たちがなぜいじめる側の論理を受け入れられるの?」
「いじめを受けた者達が、立場が変わるといじめる側にまわるのは典型的なパターンだからだ」
「なぜそうなる」
「いじめられつつ、方法論を学んでしまうからだろうな」
「いじめられっ子は、いじめる側のエキスパートになり得るわけだね」
「そうだ。いじめからいじめに受け継がれる大いじめの連鎖は永遠に終わることはない」
「いじめられた人は可能になったら全員いじめる側にまわるの?」
「そういうわけではない。連鎖を断ち切っている事例ならいらくでもある」
「じゃあなぜ永遠に終わらないの?」
「断ち切れなかった事例もいくらでもあるからさ」
「何か全て断ち切ってこの混迷を終わらせる方法はないの?」
「いじめと言うから何か微妙なものに思えるが実際は暴力や恐喝だ。あれらをきちんと犯罪行為だとして処罰して根絶すれば無くなるよ」
「じゃあ、それを実行すればいいじゃないか」
「できないよ」
「なぜ?」
「それをやると、多くの有力者達が有罪になってしまうので、絶対にそんなことはさせないような方向で運動するからさ」
「なら、いじめ体質は永遠?」
「永遠と言うことはない」
「終わりはあるんだね?」
「そう。地上に音もなく動くものも無くなったとき、連鎖は終わる」
「今おいらは知った。一つの星が死んだのだ……」