「なぜ宇宙戦艦ヤマトにロボットを出してはいけないんだい? 頭が固いだけではないのかい?」
「うん。むしろ逆。ロボットを出してしまう発想の方が頭が固い。もっと柔軟になれよ」
「えー。なんでそうなるんだい?」
「つまりね。全てのアニメが同じならば、作品を作る意味がないんだよ。別の何かを語ってこそ新し作品を作る意味がある。そして、ロボットが出てくるアニメなら星の数ほどあって、既に新鮮味などどこにもない」
「新鮮味が欲しければ、もっと別の何かで勝負しろってことだね」
「そう。同じことばかりやっていたらジャンルは衰退する。1974年の宇宙戦艦ヤマトは巨人の星や侍ジャイアンツと違うことをやったから偉い。2018年のヤマトは違うことをやっていないから結果的にジャンルの衰退を後押ししている」
「でもさ。ロボット人気あるじゃん? ロボット出ていれば満足する人は多いよね?」
「うん。そこは流布された俗説で、それが事実であると語る人も、事実であると信じている層も厚いのだが、実は違うような気がしている。おいらには、彼らが本当にロボットで満足しているようにはみえない」
「なぜ満足できないんだい?」
「人間なら飽きるからだ」
「なぜロボットが好きと自他共に認めるのに飽きてしまうだい?」
「好きなものだけ食べていたら飽きるからだ」
「えー」
「しかし、ロボット村から出て行く方法はみんな知らないから、取りあえず何とか辻褄を合わせようとして四苦八苦する。そうやってなんとかロボットが朽ち果てることを阻止してしのいでいるが、外部から見ると【彼らはロボットに満足していない】かのように見えてしまう」
「ロボット村から出る方法はないの?」
「あるよ。村の壁は自分で作った心の壁だから、本来出入りは自由だ」
「えー」
「事実、そういう人たちがこの世界の片隅にを見て面白いと思うことも多いが、【ロボットが出ていればもっと面白いのに】という感想を見たことはない」
「本当は気持ちの持ちよう1つで出て行けるわけだね」
「そう。本人が望むだけでいい」
「君が望んでもダメ?」
「他人がいくら望んでもダメ。本人の心の問題だから」