2018年07月19日
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三百字小説『キネ子の招き猫』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 キネ子のキネマ館は閑古鳥が鳴いていた。

 暇なのでキネ子は猫を拾ってきた。

 猫はスクリーンでいつも寝ていた。

 だが、しばらくするとキネマ館に急に客が入り始めた。

 「猫は招き猫だったのか!」

 キネ子は喜んだ。

 しかし、ある日映写機が故障した。

 スクリーンは真っ白。

 でも客は帰らない。

 「今日はもう上映できないのに、どうして……」

 「俺達猫を見に来たから」

 猫がにゃあと鳴いた。

(遠野秋彦・作 ©2018 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦