2018年10月03日
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感想・映画「若おかみは小学生!」2回目

Written By: トーノ・ゼロ連絡先

「是非見たかったので、強引に時間を作って2回目を見てきた」

「感想はどうだい?」

「非常に楽しめた。飽きが来ないどころか、より深く楽しめた」

「客はどうだった?」

「TOHOシネマズ府中の1日1回限りの平日昼間の上映で客が20人。これは割と多いと思う。でも1日1回限りの上映だからやはり客が少ないからだろう。出来が良いのに支持されていないのは21世紀のカリ城と呼びたい」

「今回、気がついたことはなんだい?」

「大きく分けて3つある」

「最初の1つはなんだい?」

「光の理解が秀逸で、レンズを通った光や、広角表現などが特に優れている」

「デフォルメ?」

「画像が歪むという意味では同じだが、別物だよ」

「広角表現を使うと何がいいの?」

「CGとの合成が馴染む。デフォルメだとCGのモデルそのものを変形させねばならない」

「コスモタイガーのバージョンKってやつかい?」

「そう。それはデフォルメ表現。それとは異質なことをやっている」

「じゃあ、たとえば?」

「眼鏡キャラに目が4つ描いてある表現とか、球体を通すと上下反転して見えるとか」

「なるほど」

「鏡そのものも割と良く出てきて、鏡に映った象も演出的に活かされている。良く出来た作画だよ」

「じゃあ、2つ目に気付いたことを教えてくれよ」

「虫と幽霊」

「えっ?」

「この映画では鈴鬼だけが異質で、幽霊二人は実在なのか非実在なのか曖昧な領域にいる。実は、おっこが必要としているからそこにいるかのように見えるだけで、おっこが必要としなくなれば消えてしまう存在かもしれない」

「なぜそう考えるの?」

「そもそも、うり坊とみよちゃんが同時に消える必然性がない。一緒に消える理由はおっこにしか求められない」

「みよちゃんの声は真月さんにも聞こえたのでは?」

「それは彼女が必要としたから出ていたのであって、実はおっこが見ていたみよちゃんとは別物ではないかと思う」

「それで虫って?」

「最初虫や蜘蛛などの生き物に怯えていたおっこが同じ容易幽霊にも怯える。虫=幽霊なんだよ。だから中盤、虫の出番が減って幽霊の出番が増える」

「それで?」

「だからみよちゃんがヤモリをいじめる子供を邪魔するのはそれが自分あるいは同類だから」

「なるほど」

「あと、窓を拭いているみよちゃん。あれは窓に止まっている蛾か何かの表現ではないかと思う」

「その時のおっこには蛾ではなく雑巾に見えていたわけだね」

「そう、この作品で幽霊にはさわれない。なのに、みよちゃんは雑巾を持って窓を拭いている。これは本来ならあり得ないこと。実際は窓に蛾が止まっていたのを、傷心のおっこは窓を拭いているみよちゃんと見てしまったのではないか」

「じゃあ、3つ目に気付いたことを教えてくれよ」

「実はラストで父母が死んだことを受け入れて、若女将になったおっこは、一歩前進したのだが、一歩前進して笑っていても幸せそうには見えない、。やはり両親がいないことに変わりはなく、苦労して生きていくしかない」

「苦労は消えないわけだね」

「ここもカリ城を彷彿させるところで、カリ城でルパンはクラリスを抱かずに去った。そうするのが正しいと分かっていても凄く痛い結末なのだ。笑顔で終わってはいるけれど、痛い」

「そこが劇場版若おかみは小学生!とかぶる特徴なのだね」

「そうだな。どちらも問題は解決されるが痛みは残る。痛みが残ると言えば、この世界の片隅にも同じだね」

「そのことに意味があるの?」

「ある。作品が閉じるのに心は閉じないのだ。従って、納得して終わりにできない。客がもう一度見たいと思うが、見ても同じ結末しかない」

「作品は終わっているんだよね?」

「そう。終わっている。とても誠実な物語作りだ。両親の死を納得できないおっこという主題は回収されて終わる。問題はない」

「でも、感情は残るのだね?」

「それは映画として回収すべきテーマではないからだ」

オマケ §

「この映画は名シーンがありすぎて困る。選べない」

「君が好きなシーンはどこだい?」

「夜のイルミネーションの中を真月に会いに来るおっことか、本を読みながらおっこをまっている真月とか、あのあたりはいいよね。あと、クラスでおっこと真月が対立したとき、背景で驚いているクラスの全員も面白くていいよね」

「他には?」

「温泉プリンを作るシーンで、本物の温泉が渦を巻いているところも好き」

「キャラクター的には?」

「実は、おっこがもの凄く表情豊かでいろいろな顔をする。腕を曲げて顔に巻き付けて驚きを表現するような全身を使った感情表現もある。あれだけ豊かな引き出しがあるのは、演出が上手い証拠だ」

オマケ2 §

「おっこの母親は旧作の森雪似ている。おそらく、峰子ちゃんは森雪の未来、娘は森雪の現在、おっこは未来の森雪ということが暗に想定されているのだろう。峰子ちゃんの声優がかつての森雪の声優であったがゆえに」

「そのことにどんな意味があるの?」

「現在の森雪は既に死んでいる。そこは皮肉だな」

「なんで?」

「リメイク作よりもヤマト魂を感じさせるこの映画だ。リメイク作へのダメ出しをしているようなものだ。つまり、リメイク作がいくら森雪という名前のキャラを出したところで、それは森雪の実在を肯定できるほどのインパクトを持たないということだろう」

「そいつは皮肉だ」

「まあ、リメイク作のガミラスと彗星帝国を足して対抗したとしても、対向車線を走るトラック1台の方が恐いものね」

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