「金が無いと言いながらなぜ公開直後に見てきた?」
「割り引きの日だから。明日になると高くなる。金が無いんだよ」
「……」
「というわけで、FOREVER FRIENDSである」
「どうだった?」
「劇場はガラガラだった。まあしょうが無い。平日の午前中だからね」
「それで?」
「でも内容は良かった。見て良かった。みんなは知らないが自分はこれが良い映画であることを知っているのだから、それはそれで良い」
「どこが良かった?」
「現代とリンクして直接テレビシリーズの世界と接続しないところかな。あくまで主人公の少年少女三人の物語として始まって終わる。TVシリーズの主人公三人は実はエンディングにさりげなく出てくるだけで、一切出てこない」
「エンマ大王とかぬらりはテレビとつながってるよね」
「この映画はエンマ大王誕生秘話そのものだからそこはつながっている。しかし、見る側にそれはどうでもいいことだ。この映画はこの映画として閉じている」
「どう閉じているんだい?」
「死をテーマにした映画でありながら希望に満ちている。全ての人間は結局死ぬが、この映画は生き続ける希望で終わる」
「他には?」
「この映画は最初に召喚した役に立たない三体の妖怪と、三人の少年少女の守護霊がそれぞれ誰かが問題にされる。しかし、それらが全て綺麗な見せ場を伴ってドラマを盛り上げるように配置されている。これは上手い」
「他には?」
「金持ちの家に行って、テレビがあることに驚く少女。しかもカラーで更に驚く……というのは時代観があって良かったね。病気で寝たきりの母親を抱えた少年の一間限りの貧乏な家も、表現が良かった。歴史物的な視点で十分に楽しめる。妖魔界に行く列車も、正面2枚窓の湘南型を少し猫の目っぽく変形したデザインで、時代観がある。ちゃんと、おそらく昭和30年代ぐらいの時代を大切に描いている。そこもいいね」
「だから江戸東京博物館が妖怪ウォッチとコラボできるわけだね」
「かもね。他のアニメからパクってきたような昔あるいは民族ではない、ストレートな歴史的な視点を感じる」