「改めてダークブルートレイラーを見たら震撼するね」
「どうして?」
「ストーリーがぜんぜん違っていてなおかつ、どっちも泣ける」
「どういうことだよ」
「本編の映像と台詞の素材を使ってトレイラーは成立しているのだけど、これが凄く泣ける。でも、本編の流れと無関係に配列されているので、トレイラーが思い起こさせるストーリーと実際のストーリーが別物。それで、今までのほとんどのACE COMBATは実際のストーリーがしょぼいのだが、ACE COMBAT 7は実際のストーリーがもっと凄い。こんなの、ACE COMBAT 5以来じゃないかな」
「具体的にどこが凄いの?」
「たとえば、終末感。トレイラーが語る内容だと、ほとんどの味方機が撃ち落とされて生き残った機体がトリガーの周りに集まって、みんながトリガーに呼びかけるように構成されているのだが、凄く終末感がある。全てが崩壊してトリガーに依存しなければ終わってしまう。そんな終末感がある」
「でも、そんなストーリーは無いよね」
「そう。ない。そんなストーリーは存在しない。ところが、終末感がないのかと言えばあるのだ。あらゆる通信が途絶した孤立した部隊が、敵味方を越えて結集して最後に無人機との最終決戦に挑む。まさに最終決戦に相応しい終末感の凄みがある。圧倒的に長い時間で語られる多数の人間が絡み合った物語が展開されて凄い」
「結局なんだい?」
「本当の意味でのACE COMBAT 5の続編がやっと得られた……のだと思うよ」
「ACE COMBAT ZEROや6は続編とは言いがたかった?」
「ゲームとして面白い部分はあったが、物語の組み立ては上手くなかったからな。なぜかトレイラーだけ上手い」
「7は具体的にどこがどう上手いと思う?」
「トレイラーは過去の作品のパワーアップ版みたいなものを思い起こさせるように作られているが実際のストーリーは別物。主人公は大統領直属の秘密戦隊になどならない。反乱もしない。買うまでは過去作みたいなものと思わせつつ、買った後は別のことを語って新しい価値を与えようとする。構成が上手い」