日本の負け方・日本の勝ち方
「この本はなんだい?」
「いやね。前から自分の書く本はテーマが狭すぎてより多くの読者をゲット出来る可能性を最初から狭めていると思ったんだ」
「下高井戸をテーマにしても読者は多くて数人から数十人ってことだね」
「だから主語を大きく取りたかった」
「野猿峠ハイキングコースの歴史ではなく、ハイキングの歴史を書いたのもその一環だね」
「そう。主語は大きく取らないと読者層を狭めてしまう」
「じゃあ主語を大きく取れば良いじゃないか」
「それは簡単にできない。あまり大きなテーマは調査が追いつかない」
「それなのに、なぜ今回は【日本】を主語にする大きなテーマの本を書けたんだい?」
「過去に調べた話から共通の特徴が抽出できたからだ」
「抽出して一般化すれば大きなテーマになるわけだね」
「そう。日本を主語にして語れることがでてきた」
「晴れて念願の主語が大きな本を出せたわけだね」
「その通りだ」
「どんな本なんだい?」
「最後の結論以外、過去にやったことの集大成みたいな本だな」
「具体的に何を書いてあるんだい?」
「D51も紅梅キャラメルもハイキングも月光23型もB29の女性搭乗員も出てくるよ」
「盛り沢山だね」
「鳥居の話は入らなかったけど、表紙に鳥居っぽい絵は描けた」
「どこまでも貪欲な……」