「面白かった?」
「映画としての出来は良かったと思うよ」
「令和最初のライダー映画としての意気込みは感じられた?」
「いろいろ新しい工夫を重ねているのは良く分かった。それも前向きに良かったと思うよ」
「じゃあ詳細な感想を聞こうか」
「まず、前提として、自分はテレビのゼロワンに興味が持てなかった。あまり面白くないと思った」
「映画は別ってことだね」
「うん。そうだ」
「なぜテレビのゼロワンに興味が持てないの?」
「AIの描写が昭和だからさ」
「平成ですらないの?」
「そう。ただの昭和のインチキAIのまんま何も進歩してない。既に実用段階に入った情報工学的な意味でのAIがあるんだから、それをちゃんと題材にすれば良かったのに。ただ単にAIブームに乗ってAIを理解せず無理矢理描くと昭和になっちゃった感じ。これじゃ仮面ライダーゼロワンじゃなくて、仮面ライダーワンセブンだって」
「えー。じゃあ、この映画は?」
「うん。そこがポイントだ」
「どんな感じだ?」
「この映画のヒューマギアは工業製品ではなく、被差別民族が投影された寓話になっているので、実質的に工業製品ではないのだ。だから自律的な意識を持って夢を語る存在なのだ」
「そこが良いわけだね?」
「そう。そういう切り口で攻めるのはありだし、実際に日本国内の貧困問題などを見れば被差別民が出てくる感じになるのも時代錯誤ではない。良い切り口と肯定的に誉められる」
「AIとかシンギュラリティとか強調しないからあれはあれでいいわけだね」
「映画としてもたいへん良くできている」
「じゃあ、映画として良くできていると思ったところは何?」
「そういう切り口なら、最終的にきちんと【父殺し】になるところが映画的に良かった。凄く納得した」
「物語的な正しい定番が【父殺し】だってことだね」
「そう。凄く基本に忠実だから盛り上がる」
「じゃあさ。ライダー的な見どころはどうだった?」
「うん。これがまたオッタマゲーションな展開で、ジオウの世界観とゼロワンの世界観が完全に融合していて、黒幕はタイムジャッカーなのに実働しているのはヒューマギアという面白い設定。よく工夫されている。アルト社長を追い出す偽社長が偽ゼロワンに変身するが、この偽ゼロワンがアナザーゼロワンという解釈になっている」
「じゃあさ。表現的にはどんなところに感心した?」
「本を武器にして戦うウォズ。銃弾を見せる演出の多様。特にすれ違う銃弾。見せ方や展開に新しいチャレンジが多く見られた」
「劇場の客の入りはどうだった?」
「公開3日目の月曜日という条件だとちょっと少ない気がした。やはり、消費税10%増税後の景気冷え込みの影響をかぶっているね」
「じゃあ、総合的な感想として見て良かった?」
「うん。良かった。予想以上に楽しかった。見応えもあった。まあ細部に突っ込みどころはあるけれど、そこはもう良いだろう」
「この冬は他に何を見る予定?」
「金も暇も無いので、12月はこれ1本の予定だ」
「スターウォーズもヒロアカも見ないでいいの?」
「スターウォーズは正直もうどうでもいい。ヒロアカは金と暇があったら見たいね」
「もう以前とは違うわけだね」
「お金も減ったが仕事の都合上暇はもっと減った。一ヶ月に映画館に行ける頻度は多くて一回だろう」
「そんな状況でムービー大戦2010以来ずっとライダーの映画を見に行く理由は何だろう?」
「良い映画が見られる可能性が意外と高いからかな。戦隊にせよライダーにせよ」