財界展望1999年05月号【ブーム再来で「宇宙戦艦ヤマト」の版権争い"再噴射"】は、PS版宇宙戦艦ヤマトが発売された頃の、宇宙戦艦ヤマトに関する著作権争いについて、ビジネスという観点かつ中立の観点から解説した記事です。時期としては和解成立前です。
時間が掛かりましたが、国会図書館の遠隔複写サービスでコピーをゲットできました。
これを一読して要約してしまうと、【全体として疑問点が多く、かなりおかしい】です。
取りあえず、プレイヤーは西崎義展、松本零士の二者ではなく、東北新社とバンダイ/バンダイビジュアルを含めた4者であるように読めます。
ここで、対立が西崎対松本のような構図になってしまう理由は、西崎は松本を、松本は西崎に相当な不満があるからのように思えます。
この点を踏まえないと宇宙戦艦ヤマトの著作権問題はたぶんミスリードします。
そして、雰囲気的に西崎優勢のようにも見えますが、西崎義展の主張には疑問点も散見されるため、そのまま鵜呑みにして良いか分かりません。
おそらく、両者は互角です。
西崎優勢とか、西崎の勝利という雰囲気は伝わってきません。
私見だとおそらく6:4ぐらいで、西崎サイドやや優位ではあるものの、絶対に勝てるほどの優位とも言えないような気がします。
おそらく、裁判を続けると両者痛み分けになったような気がします。
西崎松本の和解は、両者が傷を負うことを回避するために、6:4の状況で手打ちをしたのではないかという気がします。本当の敵はたぶん別にいました。
ただ、和解の後、和解が適切に遵守されているのかというと、そこも疑問があります。
まとめます。
- 本当に著作権を持っているのは誰か曖昧である (分からないのではない。曖昧なのである)
- 西崎義展は実際には裁判に勝ってはいない (和解は裁判への勝訴ではない。西崎勝利という解釈は間違いである)
- そもそも、本当は西崎対松本という構図ではない
- 和解は、適切に遵守されていないのではないか
- 松本サイドからの異議申し立てが現在行われていないのは、松本ヤマトが具体的に商品に直結していないからであって、不満が存在しないわけではないのではないか
- 例外的に【ヤマトよ永遠に】に関しては松本サイドが強力に異議を申し立てる可能性があり、【永遠に】に隣接する【新たなる旅立ち】のリメイクは潜在的な危険要素なのではないか
- 【新たなる旅立ち】の次に【永遠に】をリメイクするすればとそれは危険要素そのものではないか
宇宙戦艦ヤマトの著作権に関する研究はもう少し続けたいと思います。
もうちょっと資料を集めたいと思います。
追記 §
いや待て。既に著作権争い第2ラウンドが水面化で始まっている可能性もあるな。そうだとすると、引き金を引いたのは、おそらく【新たなる旅立ち】のリメイク。【新たなる旅立ち】のリメイクは【永遠に】のリメイクと分離できないから企画はセットだったはずだが、そこはデンジャラスな松本ワールドだ。
まあ、こちらとしてはそれが事実かどうかはどうでもいい話だけどね。
誇張度100%のホラ話ばかりが積み重なっているこの世界で、何が真実なのか。カケラだけでも分かれば嬉しいだけだ。