問題提起 §
月刊ASCII1978年2月号表紙には3機のイーグル宇宙船(スペース1999に登場)が飛んでいます。
しかし、上下逆さまです。
一瞬で上下が違うと見抜けるのはスペース1999マニアだけですね。はい、すいません。スペース1999大好きです。
この雑誌本体は後日古本で入手したもので、当時は買っていません。しかし、バックナッバーの案内でこんな表紙があったことは知っていたので、気になっていました。
推定 §
なぜ上下が反対なのか。
当時の推定は【割とマイナーなイーグルの知識のない編集者またはデザイナーが間違えた】でした。
しかし、この推定は間違いでした。吉崎武編集長は超マニアであり、編集部にはマニアが揃っていたはずです。
手がかり §
2020年になって突然手がかりが得られました。
夢の図書館+マイコン博物館+模ラ博物館(公式)さんのつぶやきです。
ここに【編集長が趣味で作ったイーグル宇宙船を登場させました(中略)製作しなかった予備の4機目のイーグル宇宙船のプラモデルはマイコン博物館に展示中】とあり、プラモデルはイマイのイーグルであったことが明示されました。
この手がかりからピンと来ました。
イマイのイーグルであれば、ゼンマイと車輪で走行したはずです。つまり、模型の底面を見せると車輪が見えてしまいます。だから、【ひっくり返して撮るしかなかった】という仮説を立てました。
次の問題は、写真にあるイマイのイーグルに車輪はあったのか否かの問題になります。
検証 §
イマイのイーグルには複数のバージョンがあったようです。
年代ごとに主に以下のバリエーションがあったようです。
- ゼンマイ走行バージョン
- ゼンマイなしバージョン
- 完全に走行機能を取り去ったディスプレイモデル
問題のアスキー表紙撮影に使われたのはどれか。
それを確定できれば検証は完了です。
パッケージに初版ビジュアル+EAGLE TRANSPOTERの文字入りのものが【製作しなかった予備】として写真が掲載されていますが、上記写真によるとこれは1982年の再版らしく、1978年に間に合いません。
ただし、このパッケージは以下のサイトの写真で【コロ走行可能】と確認できます。
とりあえず、ディスプレイモデル2001年より前の全てのイマイのイーグルにはゼンマイの有無はあれど車輪はあると推定できます。
2つの弱点の問題 §
車輪走行させる関係上、着陸脚が短かったという問題もあったようです。
ですから、当時のイマイのイーグルには2つの弱点があったことになります。
- 車輪が付いている。車輪を付けないとしても穴は残ってしまう。穴を塞ぐと大改修になってしまう。
- 着陸脚が短い
つまり、下から見ると凄く格好悪いという特徴があったと推定できます。
結論 §
最初のつぶやきから推定すると、本来はスタートレックのエンタープライズ号を煽りの構図で撮りたかったのではないかと思われます。しかし、エンタープライズ号の模型が入手できず、イーグルで代用したものと思います。ですが、イマイのイーグルには下から見ると凄く格好悪いという弱点があり、機首だけ見れば上下逆でも大差ないので、逆さまにして撮影を行ったのではないかと推定できます。
感想 §
当初、この表紙は【なんじゃこりゃ】でしたが、イマイのイーグルだと分かると、【よくぞイマイのイーグルをこんなに格好良く仕上げて格好良く撮った。偉い!】と評価が180度変わりました。当初は本家のスチルか何かを利用していると思っていましたよ。まさか、近所の店で売っているようなプラモとは。
ちなみに、この評価の7割は撮影センスです。プラモは撮影センスでいくらでも見栄えが変わりますよ。