DVD「劇場版 ドラえもん ぼくの生まれた日」収録
「感涙であるぞ。昔見たがまた見られた」
「どこが良いの?」
「この映画は本質的に成長譚なんだな。エリさまは、リリンという自分そっくりの女優に出会う。だが、二人が似ているのは外見だけで、リリンはプロの女優であったから、破天荒な生き方をしている子供のエリさまとは、住む世界が違う。だが、映画の中でエリさまを演じるリリンは本物のエリさまに興味を持って接近するから、エリさまは残酷にも自分の生き方が通用しない現実に直面することを強要されてしまう。結局、多角的な現実を受け入れざるを得なかったエリさまは怪我をしたリリンの代役として、映画に出演してしまう。エリさまは一皮剥けて成長することになるわけだ。一方で、実はリリンも成長する。エリさまになりかわり、エリさまとして生活することで、演者としての義務感に杓子定規に従う生き方ではなく、エリさま的な自分を殺さない生き方を学ぶ。実は二人の成長が【交換できなかったはずの二人が交換可能になる】という状況を引き起こし、本物のエリさまがリリンの代役として映画に出られるようになる」
「なるほど」
「そもそもスタッフが破格だ。監督の本郷みつるって、【チンプイ エリさま活動大写真】だけでなく、【サクラ大戦 活動写真】の監督だぞ」
「どっちも活動写真かい」
「どっちも大が付くぞ」
「ひ~」
「主役の声優は、人気声優ではなく超実力派の林原めぐみだし、他にも凄いスタッフが」
「破格のスタッフが作った破格の映画ってことだね」
「当時見ても凄いと思ったが、今見るともっと凄いよ」