謎のアニメ感想家(笑)、翼の騎士トーノZEROのアニメ感想行ってみよう!
今日のファフナーの感想。
サブタイトル §
最終話 「蒼穹 ~そら~」
あらすじ §
一騎達は、総士を救出するために、人類軍の総攻撃に合流します。
人類軍は、フェストゥムの読心能力対策として連携しない個別攻撃を行います。
それにより、一騎達も、独自に行動を行います。
島のコアは岩戸に戻り、ミールに同化されます。
島のミールは、島の環境そのものであることが明らかになります。
フェストゥムは、一騎達を分断しますが、彼らは必死に戦い、敵を倒しつつ合流します。そして、一騎の母であったミールと接触し、膨大な情報を得ます。
一騎は総士を救出します。
一騎と真矢は共同で、大気圏外のフェストゥムとつながろうとしているミールを破壊します。
彼らは溝口の輸送機で脱出します。しかし、マークニヒトによって、一騎と総士は輸送機から落とされてしまいます。
彼らは無の世界に連れ込まれますが、甲陽に助けられます。そして、墜落した飛行機と同化させ、飛行能力を得て島への帰還の途につきます。
総士はもはや身体の一部しか残っておらず、一度フェストゥムの側に行き、いつか必ず戻ってくると言い残して消滅します。
一騎を真矢は迎えます。
感想 §
最終回スペシャルです。実質2話分だと思います。
凄いものを見せてもらったと思います。
先に、表現的な部分について書くと。
決戦の地が北極というのは、上手い選択だと思いました。
地上のように見える氷上があると同時に、氷の下の海面下もあります。つまり描写が立体的になります。しかも、氷が割れて下に海が、という描写も可能になります。
航空降下シーンや装備の補給シーンも、凡庸なロボットアニメではなかなか見られない、誠実な描写だと思います。決戦に向かう人類軍をとても多く描き込んでいることも、やはり誠実な描写だと思います。
竜宮島の設定も凄いですね。バイオスフィアですよ。つまり、それだけで独立した生態系になるということですね。そのまま宇宙や海底に行っても、みんなは島で生き続けられるわけです。つまり、竜宮島は海底に置いて竜宮城そのものになることもできるわけですね。
更に感想 §
コアが岩戸に戻るプロセスが丁寧に描かれていたのも、予想外の好感ですね。これは、とても悲しい別れのシーンであると同時に、未来への希望を見せる部分でもあります。この生と死のダイナミズムこそが、この作品で描かれるべき主題の1つであるとすれば、まさにこれに時間を使って描いたことは納得がいきます。
竜宮島が何か、ということも実に興味深い謎解きが行われますね。島の環境そのものがミール。人間達が呼吸しているものがミール。島と同じ質量の存在。つまり、ミールはバイオスフィアに自分を作り替えていたということ。これが1つの共存の姿ということですね。
そして、ミールはまだ成長過程。この島のミールが死を学んだから、という理由で死んでいく生き物たち。そして、そのミールに「生と死」が1つであることを教えたいコア。コアが人の姿をしていることをやめていくことは、けして終わりではありません。
それは、総士を通じても描かれますね。総士もまた存在が消えて無くなり、フェストゥムの側に行ってしまいます。彼は、フェストゥムに痛みと存在を教え、そして存在と無の循環を知ったと言います。これは非常に重要なポイントです。けして、この作品では、フェストゥムに生と死を教えれば済むという終わり方をしていません。人間がそれらを教える代償として、総士もまたフェストゥムのことを知ります。そして、別の世界に旅立っていってしまいます。いつか必ず戻ってくると総士は言いますが、帰るまでのプロセスには何かの大きな意義が存在するのでしょう。それこそが、人が見る未知への可能性というものでしょう。
そして、一騎。抵抗してはいけない、と言われ敵の意志を同化する一騎。受け入れることは1つの力、とまで言い切られるのは凄いことですね。その結果、一騎の身体も目に障害を受けてしまいますが、それでも受け入れるべきことがあるわけですね。対話し、相互理解に進むプロセスには痛みが伴うとしても、それは行わねばならないわけですね。
最後に、印象深いのは、たった一人で戻る一騎を迎える真矢です。一騎が総士のことばかりずっと見ていたのは、真矢もよく分かっています。それにも関わらず、一騎の帰還を喜べる真矢という存在。その真矢に最後には微笑むことができる一騎。それが何を意味するのかは分かりませんが、少なくとも前向きな何かがあると信じて良さそうですね。
今回の名台詞 §
総士「僕はまだここにいる」
あなたはそこにいますか、という問いかけに肯定した者を同化するフェストゥム。まだここにいる、というのはフェストゥムへの挑発となりますね。