参りました。
こんなに面白いとは思ってもいませんでした。
小畑健さんと言えば、ヒカルの碁。実はコミックも全巻通して読みました。その結果、ストイックに囲碁の話を延々と続ける魅力を、非常に気に入ったわけです。
しかし、次回作は、名前を書くと人が死ぬノートというベタベタな子供っぽいテーマと聞いて引いてしまったところがあるわけです。
ですが、その印象は間違いでした。
これは面白い。
厳格かつ限界のあるツール §
デスノートは、万能のツールではありません。
厳格に能力の限界が存在します。
たとえば、明らかに不可能な死の状況を書いても、それは実現しません。
そのようなツールを使って何かをしようとすれば、必然的に厳格な知的能力が要求されます。緻密に積み重ねた実験と検証、そして長期的な計画。
それを通して読んでいくことで、本来殺人者でしかないライトを、読者は応援することができます。
実に面白いことです。
ついでに言えば、デスノートの機能を調べるライトの態度は科学的であるとすら言えるし、あり得ない過程をつ導入してそれによって起こる出来事をシミュレーションするというやり方は、本来的な意味での一種のSFであると言えるかもしれません。
明らかにおかしいL §
一方、探偵として登場したLは、明らかにおかしい奴です。彼は本来ヒーローなるべきポジションにいながら、そのように見えません。
しかし、この変な奴の変っぷりも面白いのです。
知力対決 §
そして起こるライトとLの知力対決。
思惑と言葉を交換しながら、ちょっとでもボロを出せばやられてしまう厳しい状況での駆け引きが続きます。これはハラハラさせられて、面白いですね。
リューク §
ライトにしか見えない死神……。
よく考えると、ヒカルの碁で、ヒカルにしか見えない佐為と同じ構造なのですね。
同じ構造を取りながら、それにも関わらず印象が全く違うのがさすがです。