2005年10月07日
トーノZEROアニメ感想舞-乙HiMEtotal 2449 count

この作品こそ、このアニメ世紀末に出現した、光り輝く貴重なオアシス!?

Written By: トーノZERO連絡先

 謎のアニメ感想家(笑)、翼の騎士トーノZEROのアニメ感想行ってみよう!

 今日の舞-乙HiMEの感想。

サブタイトル §

第1話 「ユメノ☆アリカ」

あらすじ §

 14年前、とある王宮が襲われ、まだ赤ん坊の王女は地下水路に流されて行方不明になります。

 そして現在。

 田舎から出てきたアリカは、ガルデローベの生徒、乙HiME(オトメ)であるニナと出会います。二人は、怪しい黒服の男(実は護衛)に追われるマシロ王女をそれと知らずに助けます。

 マシロ王女を襲う怪しい巨大ロボットが出現します。

 ニナは、マシロ王女によりオトメの力を解放され、ロボットと戦います。

 しかし、勝てません。

 ピンチに陥る、ニナ、アリカ、マシロ。

 そこで突如アリカは不思議な力を発揮して、ピンチを脱します。

 そこに、マイスターオトメのシズルと、パールオトメのアカネが来て、3人はアカネに助けられます。

 そして、ロボットは、シズルが倒します。

 アリカは、蒼天の青玉を持っていることが明らかになります。

感想 §

 えっっっっっっ!?

 というのが、見終わった感想です。

 これまでに見た10月の新番組(アニメ)の中で、部分的に優れた部分を持つ作品は散見されたものの、作品そのものが相手にするに値するという最低ラインを超えたものはありませんでした。

 つまりは、アニメブームはとっくに終わったのだという私の考えは間違っていなかったのだろうと思います。

 そのような状況で、この最低ラインどころか、望ましい基本水準をクリアした作品がいとも軽々と目の前に出現しようとは。

 いや本当に、この作品はこれから半年間のオアシスになるかもしれません。他に見るに値するアニメがあまりにも少ないという理由により。

更に感想 §

 なぜ大半のアニメが最低ラインをクリアできないのかといえば、それらが描く人や社会のスケール感が、せいぜいご町内のレベルまで矮小化されているためです。それでいて、やたらスケールの大きい設定ばかりが上滑りします。これは、要約してしまえば子供の世界観です。つまり、実際の行動範囲(体験として知っている範囲)がご町内のレベルであるにも関わらず、僕は宇宙の正義を守るのだ!と本気で信じることができてしまう状況に対応します。

 しかし、この作品はそれとは違います。

 社会があり、社会システムがあり、膨大な数の人間がいて、その頂点に立つ者達と、下々の者達はたやすく接点を持つことがあり得ないスケール感がしっかりと描かれています。

 もちろん、今回の内容では、おそらくは社会の最下層の存在であるアリカと、最上層のトップとも言えるお姫様のマシロは出会ってしまいます。その出会いが大きな意味と価値を持つのは、本来なら接点を持つことがあり得ない社会のスケール感があればこそです。住む世界が違い、接触することすらあり得ない二人だからこそ、微妙にすれ違う人間関係に面白さが生まれると言えます。

 スケール感という点では、砂漠を走る船の描写も素晴らしいですね。デザインも素晴らしいですが、まさに人間の直感で把握できるサイズを超えた巨大感がよく出ています。このあたりは、実に誠実な良い仕事をしていると思います。

 一方、街の中の光景は、ヨーロッパ風の町並みにモノレールが走っています。ここがまた上手い! 単に街を描くだけでは、単なるヨーロッパの模倣にしかならず、それは世界観という水準に達しません。しかし、そこにモノレールを一本通したことで、この街の光景は、この作品の世界観の一端を示す「表現」に昇華しているのです。

 ついでに言えば、このモノレールの車両のデザインもいい! 品のあるヨーロッパ風という感じか。日本の鉄道しか知らない鉄道マニアには描けないタイプのデザインでしょう。

 人物に目を向けると、主人公のアリカが凄く良いのです。オタクに媚びるのなら、いつでもパンチラしそうな(あるいはいつもパンチラしている)ミニスカートをはかせるところですが、彼女はスカートをはいて登場しません。もちろん、過酷な砂漠を旅しようというのなら、ズボンファッションは当然の服装です。しかも、そのスマートなズボン姿がまた魅力を感じさせます。それに加えてアリカは目が良いですね。釣り目というのも良いですが、それが魅力的に大きく見開かれたりします。目とは口ほどにものをいう器官ですが、それを上手く使って表情を描いていないアニメも珍しくありません。アリカの目の演技には今後も期待です。

世界観という罠を踏み越えろ! §

 世界観を作るというのは、本来非常に難しい作業です。

 特に、遠い未来だけでなく、過去のイメージを持ち込もうとすると、その作業は驚くほど困難になります。つまり、過去のある時点を想定すると、そこに凄いテクノロジーは持ち込めなくなるからです。サクラ大戦では蒸気機関だけではドラマに要請されるエネルギー源として不十分であるために霊力が出てくるし、鋼の錬金術師では科学ではないレトロな錬金術が「力」として必要とされます。それは世界観の辻褄を合わせるために、必要なものなのです。

 さて、そのような困難さを知ろうともせず、安易に見た目を模倣するアニメもあります。こういうアニメは、過去と未来のイメージが錯綜して破綻した世界を描き出します。このようなアニメであっても、知識や経験の乏しい者達は喜んでみてくれるかもしれません。しかし、描かれた個々の断片にまつわる歴史的なしがらみを読み取れる者達の視線からは、見るに堪えないことになってしまうのです。つまり、このようなアニメ作品は、新しいファン層を獲得していくだけの力が不足し、縮小再生産プロセスの一部にしかなり得ないのです。

 では、この作品はどうなのか。

 これも「おおっ」と思わせてくれましたが、この作品ではテクノロジーが退行過程にある社会を描いています。おそらくは地球から宇宙船に乗って移民がやって来た星であり、新天地を開拓して住み着くために不要なテクノロジーは失われつつあります。残された高度なテクノロジーは、まるで魔法のように見えるのです。つまり、高度に発達したテクノロジーは魔法に見えるという法則に従い、テクノロジーは作中で魔法としての存在感を獲得します。

 また、テクノロジーの退行に伴い、社会システムの退行も発生しているのでしょう。それゆえに、王族のような明らかに古い社会システムと、高度なテクノロジーの産物が共存する世界観が生まれます。これは、サクラ大戦とも鋼の錬金術師とも違う方法論によって描き出された、別のレトロフューチャーであると言っても良いでしょう。それをきちんと行ったことにより、この作品は「作品」と呼ぶに値するステージに立つことができたと思います。

 これは、とても凄いことですよ。今時のアニメの惨状からすれば、まさに破格の高水準です。

今回の一言 §

 舞-乙HiMEのロゴで、乙の文字はアルファベットのZにも見えます。

 (公式サイトのドメイン名は、mai-zhime.net、まさにzを使って表記している)

 そこで、はたと気付きました。

 そうか、サンライズ的に、続編はZなのか!

 ということは、次作品は舞-乙乙HiMEですね? (勘違い)

今回の名台詞 §

シズル「おでこになんかついてはるえ」

 これは上手い!

 アリカがロボの額に突き刺した棒。

 それが、シズル戦での最後のこの台詞への伏線になっていたとは。

 忘れた頃に効果を発揮する何という意外性。

 しかも、この台詞を切っ掛けに崩壊するロボ。演出的にも、非常に手間を掛けていますね。

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