トーノZERO, THE BELKANアニメ感想家(笑)のアニメ感想を参ります。
2006年3月10日の「怪 ~ayakashi~」の感想。
サブタイトル §
化猫「序の幕」
あらすじ §
花嫁を送り出そうとしていた武士の屋敷に、怪しい薬売りが来ます。
花嫁は屋敷を出る前に死にます。
薬売りは、これをもののけの仕業だと言いますが、逆に怪しまれます。
薬売りは、もののけを斬るための退魔の剣を持っていましたが、それを抜くには条件があります。形と真と理を知らねばならないと言います。
形は「化け猫」と分かります。
薬売りは、その場の人間達に、真と理を聞かせろと言います。
感想 §
「怪 ~ayakashi~」は、第1話を見て、「うーん、イマイチだなぁ」という感想を持って、それ以来見ていませんでした。
たとえば、小説で言えば京極夏彦の境地にはとうてい及ばず、時代アニメという観点で言えば先行するサムライ・チャンプルーや、陸奥圓明流外伝 修羅の刻の特に幕末編などと比較すると、遙かに見劣りするという印象しかありませんでした。
しかし、この化猫「序の幕」は凄い。
ドロドロの武家屋敷の内幕。
家を救うために嫁がされる娘。
家を継げなかった飲んだくれの兄。
尖っている割に変な色気のある女。
ざっくばらんな下っ端の娘。
相手の腹を探り合う侍達。
そういう状況に踏み込んでくる異様な薬売り。
そして、跳梁するもののけ。
貼り付けられる無数の結界の札。
その表面の文字は、別の何かの文様に姿を変えます。
しかし、何よりも魅力があるのは、なすすべ無くもののけに追い込まれていく屋敷の者達を救い、もののけを斬るという薬売りでしょう。
異形のヒーロー、異形のハンサムと言っても良いですが、それは姿形だけのことではありません。立ち居振る舞いや態度が、彼の浮世離れしたヒーローとして浮き上がらせると言えます。
ダイナミックな動きも、魅力があります。
更に感想 §
先行する作品群からの影響……のようなものが見て取れます。
無数の札が飛んでいくのはR.O.D. The TVの「紙使い」の描写を連想させるし、映像的にはサムライ・チャンプルーや巌窟王の影響もあるような印象です。
が、しかし、それらは単なる真似……ということではなく、この作品ならではの独特のムードを作り出すために噛み砕かれ、使いこなされていると感じます。
そうでなければ、これだけのノリ、雰囲気、面白さは出てこないでしょう。
いや~、良いものが見られました。
今回の一言 §
これに気付いたのは、拝御礼さんのブログ「とめどなく、雑記」の文字通り、化けましたのおかげです。感謝感謝。