ACE COMBAT ZEROの新機能であるACE STYLEは、実はゲーム性に大きな影響を与えていることに気付きました。
3種類のACE STYLEであるSOLDIER, MERCENARY, KNIGHTのどれを目指すかで、戦いの質そのものが全く変わってしまいます。攻略方法そのものが決定的に異なることすらあります。
ですから、この3つを意識的に戦い分けるようになれば、ゲームの面白さもアップするでしょう。
そこで、現時点で分かっている戦い方の違いの分析を書いてみます。
基礎知識・3つのスタイル §
3つのスタイルは、ACE STYLEのゲージによって決定されます。
これは1次元のゲージで、左右にしか動きません。
左1/3がMERCENARY, 中央1/3はSOLDIER, 右1/3がKNIGHTとなります。
ゲージは、HUD上で黄色の目標を撃破すると左に動き、見逃すと右に動きます。
2006年4月14日追記・この他、味方からの救援要請に対応することでも右に動くようです。
MERCENARY 「力を求める奴」 §
HUD上の黄色目標を撃破し続けているとMERCENARYになれます。
しかし、黄色目標を見逃していると、ゲージがSOLDIER側に移動していくので、可能な限り過半数の黄色目標を撃破し続けねばMERCENARYで居続けることはできません。
MERCENARYとしてプレイする場合、破壊できるものは全て破壊して良いので、広範囲を殲滅する兵器を多用して、効率よく戦うことができます。そのような意味で、UGBL、FAEB、MPBM等はMERCENARY向きの特殊兵装です。
地上はそれで良いとして、問題は空戦です。被弾して逃走する敵機が生じた場合は、これにとどめを刺さねばなりません。ただでさえより多くの敵を撃破しなければならないのに、この手間の増加は大きな負担となります。
ゆえに、2つのことが言えます。
第1に、優れたMERCENARYとは、その負担増をものともしない技量を持たねばなれない存在であること。
第2に、空戦よりも対地攻撃の方がMERCENARY向きの任務であることです。任意選択でミッションの内容を選べる場合は、対地攻撃を選ぶ方がMERCENARYとして戦いやすいと言えます。
KNIGHT 「プライドに生きる奴」 §
黄色目標を攻撃しない……という点にのみ心がけて戦い続ければKNIGHTになれます。
しかし、それは楽な戦いではありません。
たとえば、黄色目標の大群の中に赤や緑の攻撃対象があったりします。そのような場合でも、間違いなく撃破すべき目標だけを撃破する必要があります。そのためには、ボアサイトモードのような機能を使うことも有効です。
ここで問題になるのは、選択的な撃破を行うために、UGBL、FAEB、MPBM等の広範囲を殲滅する兵器を使用できない局面が多いことです。一撃で大量の敵を殲滅できないということは、短時間でより多くの目標を個別に撃破する腕前が要求されます。低空を低速で飛びつつ、機銃、通常ミサイル、特殊兵装の全てを使って、意図した目標だけを迅速に撃破する……、という飛行を実現するだけの腕前です。真のKNIGHTとは、その腕前によってのみなれるものでしょう。
しかし、対地攻撃と違って空戦でKNIGHT道を貫くのは難しくありません。要するに、被弾した敵機は無視して、赤や緑の敵機のみと戦えば良いわけで、MERCENARYよりもずっと負担は軽いものになります。
ゆえにKNIGHTは、対地攻撃主体のミッションよりも、空戦主体のミッションの方が戦いやすいと言えます。任意選択でミッションの内容を選べる場合は、空戦ミッションを選ぶ方がKNIGHTとして有利であると言えます。
SOLDIER 「戦況が読める奴」 §
MERCENARYやKNIGHTの立場から見たSOLDIERとは、MERCENARY道やKNIGHT道を貫くことに失敗したプレイヤーが落ち込む領域です。そのように考えると、最も格下のスタイルであり、敗残者の証であるかのように思えます。とても「戦況が読める奴」というような褒め言葉の対象になるようには思えません。
しかし、それは「一時的に」SOLDIERに落ちることが容易であるというだけの話です。
もしも、意識的にSOLDIERであり続けようと思うなら、それが容易な仕事ではないことが分かると思います。
つまり、SOLDIERであり続けるためには、黄色目標を撃破しつつ、撃破しすぎてはならないのです。どこまで黄色目標を撃破し、どこまで黄色目標を見逃すかを戦闘中に的確に判断するには、その時点でのゲージの位置、ミッションに含まれる黄色目標の量、それらの撃破状況などを全て頭の中に入れて、瞬間的に判断を下さねばなりません。
言い換えれば、MERCENARYやKNIGHTが特定の戦い方を貫徹するだけでなれるのに対して、SOLDIERであり続けるためには、特定の1つの戦い方だけで貫徹することはできないわけです。複数の戦い方を臨機応変に使い分けるのは知的に高度なプレイと言えます。
力でもプライドでもない、知性があってこそ可能なスタイルという意味で、「戦況が読める奴」という表現は詩的で悪くないと思います。
目指すべき地平はどこにあるのか? §
不正確さを含むことを承知の上でおおざっぱに言えば。
MERCENARYとは卓越した空戦能力の上に成り立つスタイル。
KNIGHTとは卓越した対地攻撃能力の上に成り立つスタイル。
SOLDIERとは卓越した戦況の把握能力の上に成り立つスタイル。
と言えるような気がします。
こうして見ると、どれが最善であるとも言えないし、目指すべきスタイルを1つだけ決めることもできません。
しかし、逆に言えば、真のエースとは、卓越した空戦能力、卓越した対地攻撃能力、卓越した戦況の把握能力の3つを兼ね備えた存在であり、3つのスタイルのどれであろうと自由に演じられる存在であるはずです。
これこそが、真に目指すべき地平でしょう。
つまり、全てのスタイルを征服することが、真のエースに通じるわけです。