2007年10月29日
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電脳コイルのテーマはコンピュータモデルとしての人工生命(AL)であるか?

Written By: トーノ・ゼロ連絡先

 電脳コイルは様々な展開があります。

 となりのトトロのような展開もあれば攻殻機動隊のような展開もあります。古典SFのモチーフの反復もあります。現実と虚構の区別というのは、押井守監督作品によく出てくるモチーフでもあります。

 しかし、それらを見ながら違和感を感じていました。

 どこかで見た何かをアトランダムになぞっているのは、実はフェイクであって、本当のテーマは違うのではないかと。

 そういう問題意識を持って見ているうちに、もしかしたらコンピュータモデルとしての人工生命(AL)ではないか……という疑惑を抱くようになりました。特に、その疑惑は「ダイチ、発毛ス」のあたりで顕著なものになりました。

コンピュータモデルとしての人工生命(AL)とは? §

 基本的には、コンピュータ上でシミュレーションされる生命です。

 外界からの刺激に対応して自律的に動きます。

 つまり、外部からリモコンで操作されるのではなく、自分の行動を自分で判断する能力を持ち、時としてそれは人間の思い通りではないこともある存在です。

 更に踏み込めば、自律的に進化する人工生命(AL)もありです。遺伝的プログラミングなどの仕掛けを使うことで、人工生命も新しい機能性を獲得して進化することができます。このようにして状況に適応して進化した人工生命は、人間の予測の範囲を超えた行動を示すこともあり得ます。

各エピソードごとの関わり §

 振り返ってみると、実は前半のエピソードの大半が、何らかの形で人工生命(AL)に関わっていることに気付きました。

 ここでは、第1話「メガネの子供たち」から第14話「いきものの記録」までを軽く振り返ります。

 とはいえ、私はリアルタイムで見たきりなので、かなり忘れています。間違い等が入り込んでいる可能性は大きいことをお断りしておきます。

1 メガネの子供たち~ §

 ここでは電脳ペットとしてデンスケやオヤジが登場しています。

 そして、デンスケの行方不明事件が発生します。

 ここで電脳ペットは、人間に所有され、人間のために存在するにも関わらず、人間の思い通りにならない存在であることが示されます。

 つまり、電脳ペットとは自立した一種の人工生命(AL)であることが示唆されます。

 また、イリーガルも姿を見せます。

4 大黒市黒客クラブ~ §

 ここで、一度視点は人工生命(AL)から引き、人間と人間との戦いを描くことで、電脳の空間は必ずしも人間の思い通りにならないことが示されます。黒客側も、イサコ側も、予算や技術などの制約の中で最善を尽くすしか無いわけです。

 ここで、世界に未確認の人工生命(AL)が存在する余地が明確に描かれます。

7 出動!! コイル探偵局 §

 電脳ペットの探索という依頼は、人間の思い通りにならない自立した電脳ペットというモチーフの反復です。

8 夏祭り、そして果たし合い §

 ここでは、既に死んだ人間のために動いている電脳ペットという可能性が示唆されます。これもまた、自立した電脳ペットというモチーフのバリエーションです。

9 あっちのミチコさん §

 ここでは、電脳ペットではない別の存在が明確に示されます。そして、それを取り込むイサコの態度は、それが人間に好意的な存在、人間に益をなす存在とは限らないことも示します。つまり、人間という存在そのものに対して自立して異質な別の何かが存在することを示します。

10 カンナの日記 §

 道順によって、一見同じ場所に見える別の場所に出られる、という状況を示すことにより、未知の電脳生物が存在する場所があり得ることが示唆されます。

11 沈没! 大黒市 §

 ここから、明確な人工生命(AL)ネタが連続で続きます。

 ダイチが育てた生き物は、まさに人工生命(AL)の一種であることが示唆されます。

12 ダイチ、発毛ス §

 人工生命(AL)は存在するというモチーフから一歩前進し、人工生命(AL)はコミュニティを作り、自らの文化をも育て、進歩していく状況が示されます。

 つまり、彼ら人間に頼らずとも進化していく存在です。

13 最後の首長竜 §

 これも、まさに人工生命(AL)ネタです。

 自然発生的に進化していた人工生命(AL)も、生活環境を追われて絶滅の危機に晒されている可能性があることが示唆されます。

14 いきものの記録 §

 一種の総集編であり、「いきものの記録」の「いきもの」とはアキラの姉のフミエを示します。

 しかし、実は「いきもの=人工生命(AL)」という解釈も可能です。本当のテーマは「人工生命(AL)」であるにも関わらず、それを「いきもの」と表記して、フミエのことであるという表の解釈に埋没させているのかもしれません。

 もちろん、1つの言葉に複数の意味を込める程度のことは、この作品にあっては当然期待できる水準です。

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