突撃!パッパラ隊をあらためて読むと、思った以上に女装、性転換、ホモ、過剰に露出するオヤジ等のネタの多さに圧倒されます。性に関する異常のデパートと言っても良いでしょう。(ミラルカとランコの関係を誤解したマイも含めればレズも範疇に含まれる)
では、アブノーマル・デパートであることがパッパラ隊の魅力であるか、それを目当てにパッパラ隊を読んでいたのか……というと、これは完全にノーです。
というのは、私が最も好きなキャラはランコであり、この作品は明らかに水島とランコを軸に動いているからです。
つまり、アブノーマル・デパートであることは、純粋な男としての水島と、純粋な女としてのランコの恋愛関係ドラマの背景でしかありません。
ランコの魅力とは何か §
ではそこまでして軸となるランコの魅力とは何か。
それは、あらゆる欲望の完全開放でしょう。
しかも、ランコ自身は行動を制約しようとはしていません。ランコの行動は、一部の例外を除き、誰にも止められません。
その結果として、ランコと親しくつきあえる人間はその行動で破壊されない者に限られます。
まず第1に「とびかげ(と轟天)」だけがランコの仲間であり、そこに死神の水島が加わります。一時期、ヨシツネがランコのお気に入りとなるのも、ヨシツネがランコの暴走で破壊されない強さを持っていたからでしょう。
この状況は、逆説的にランコは「他人に飢えている」ことも示します。他人を求めてもすぐに自分で潰してしまうランコは、「他人との関係」を深めることが困難です。だから、ランコには誰かを求める寂しさもにじみ出ています。
つまり、まとめると以下の2点です。
- 制約されない欲望のストレートな発散
- 誰かを求める心の欲求
ランコを見ていると理屈を越えて爽快であると同時に、彼女には寄り添う誰かが必要だという「読者の僕が埋めるべき空白」が存在します。そして、しばしばランコは扉絵等で読者に対して誘いかけるような視線を投げかけます。
これだけの魅力を持ったキャラはなかなかいるものではありません。
これが私の惚れ込んだ後光院ランコです。
そして逆襲へ §
逆襲!パッパラ隊は、このような物語構造を全く別の構造に置き換えて成立しています。その点も実に見事です。見た目は違っても同じことを繰り返すのではなく、きちんと違うことを行っています。