ついに、ずっと読んできたコミック版イノセン・テイセスも最終回となるわけですが……。
うーむ。
前回の感想では以下のように書いたわけですが。
僚機に死ぬなというような主人公が、この後でチーター相手に死を前提とした空戦を仕掛けるわけですよね。はたしてこの後の展開はゲーム通りなのか。それとも違うのか。
結論から言えば原作通りではありますが、ゲーム、イノセン・テイセスの最終ミッションのドラマチックな起伏に富んだ内容は全く無かったと感じます。ページ数をそこそこ使っている割に空戦が単調すぎるし、オリシナの起伏に富んだ感情の爆発もありません。
ただ、そのことに違和感がなかったのも事実です。なぜかといえば、「萌え」作品とはおおむねそういうものであり、掲載誌はそういう作品を載せる雑誌だろうと思われるからです。
そういう意味で雑誌のカラーには忠実に適合する形で綺麗に収まったと言えるのかな……。カラーページを占有する以上、雑誌のカラーに忠実であるのは当然のこと……、って駄洒落かい。
ただ、完全にスカイ・クロラでもイノセン・テイセスでもない作品として終わった感じはします。
ちなみに、キルドレは古い記憶が消えていくという設定なので、最後にクサナギが昔話を語る状況はあまりスカイ・クロラらしくない気がします。それから、最終決戦でチータがスカイリィ?で飛んでくるのも奇異です。あれはラウテルンの機体であって、ラウテルンに移籍する前のチータは常識的にロストックの機体で飛ぶはずです。実際、この最終決戦は散香対散香になるのが、自然な展開だろうと思います。(同じ機体では絵的に区別できない? 迷彩塗装の塗り分けが違うからはっきり絵的に違うものとして描けるはず)
ロストックとラウテルンという点で言えば、ロストックは日系企業、ラウテルンは欧州系企業という設定があったような気がしますが、ラウテルンに行っても日本人的な名前の人たちがごろごろいて違和感があったのも事実です。
全般的な感想 §
あえて言ってしまえば、この作品は失敗したと思います。
最大の失敗要因は、掲載誌を間違えたことにあるのだろうと思います。
これだけでもう、99%は言い切っている気がします。
残り1%は、小説スカイ・クロラでも映画スカイ・クロラでもゲームのイノセン・テイセスでも執拗に繰り返される「飛ぶ」という感覚が、おそらく作者の皮膚感覚として上手く共有できなかったことだろうと思います。
余談 §
作者にはお疲れ様と言いたいと思います。
これだけの難物を相手に、一応は形にしたわけですが、その苦労はかなり大きかったと思います。
ただ、苦労すれば認められるわけではないのが、世の中の辛いところですね。