ヤマト2は、ヤマトが地球を救う話だと解釈するとあまり面白くありません。結局、最後はテレサに救われて終わるだけであるし。真上と真下から攻めてもすぐ逃げ出してしまって、イマイチ盛り上がらないし。
しかし、ズォーダーこそが悲劇の主人公であると解釈すると俄然面白くなります。
- 部下の独断を阻止できない
- 部下の嘘を手遅れになるまで糾弾できない
- 目を掛けたデスラーはヤマトに執心で白色彗星から逃げた後に旗艦を戻しても「大帝ありがとう」の言葉もない
デスラーのような独裁者なら冷酷に部下にいくらでもノーと言えるのに、ズォーダーはできません。しかも最後はデスラーに裏切られます。ズォーダー自身はデスラーの敵であったはずのヤマトに最後は仕留められてしまいます。
ここまであからさまに滅びの道をひた走ってしまえば無念も大きかろう……と思いますが、どこかで最初から悟っていたような感じもあります。諦めていなければ打てる手はあったのに打てないわけです。そこがまた、ズォーダーの悲しい性格なのか、白色彗星の社会システムなのか。
口は立つがイマイチ優秀とは言えない忠臣を切れない判断力の無さも泣けるポイントです。
いや本当に §
リアルタイムの本放送時、実はヤマト2がイマイチ面白くなかったのです。しかし、去年の暮れにカセットテープを整理して音声でヤマト2を一部聞いたところ(全部ではないが)、これは面白いと思いました。しかし、見所がまるで違います。つまり、当時は古代や島や斎藤の視点で見ていたわけですが、今はデスラーやズォーダーの視点で見ることができます。そうすると、これがまた面白いわけです。ダメな部下に翻弄されるズォーダーの悲哀が本当に来ますね。
一方で、サーベラーは自分の何が大帝に嫌われたのかがおそらくは良く分かっていません。だから、私を置いていかないで、と最後まで懇願できます。そう思えば、そんな部下を持ってしまったズォーダーも悲劇なら、そういう人生を歩んでしまったサーベラーも悲劇です。
結局、生き延びたのはサーベラーに最も邪険に扱われたデスラーというのも皮肉なところで、そこも見所です。いかにも、最前線でヤマトと戦って、もっともあっさり死にそうなデスラー達だけが敵として生き延びてしまうのです。
というわけで、ヤマトの敵の中で、今は文句なくズォーダーがいちばん好き。まるで破局するためにわざわざ地球まで来たようなズォーダーが最も泣けます。回避可能な破局に突っ込んでいくズォーダーが泣けます。
もしもズォーダーが復活したら §
一緒に復活させられた側近のサーベラーを自ら即座に射殺した上で、「我が白色彗星帝国も私1人になってしまった」と言いつつ自決するような気もしますね。