「まあ模型雑誌があると思いねえ」
「うん」
「それを見ていたと思いねえ」
「まあ、目当てはガ○プラではないだろうけどね」
「しかし、ページをめくっていけば、たまたま目に入ることもある」
「それで?」
「何やら、新作らしいが、パッと見てナイキックのように角張ったオーガスタンクに見えた」
「オーガスタンクってマイナーな」
「よく考えてみればさ」
「なんだい?」
「SEEDまでは、今時のプラモはどうなっているのかな、と思って1/144のエールストライクガンダムとか買ってる訳よ。それ以前に、MGのスーパーガンダムとか、Zガンダムとか、GP01とかも買ったことがある訳よ」
「うん」
「でもさ。00になるともう試しに買ってみようという気も起きてないわけ。ZガンダムがVer2だから買おうって気も起きない」
「ヤマト復活編を見てしまったから?」
「いや。ヤマト復活編がガ○ダムに引導を渡してしまった、という解釈をすると辻褄が合わない。00の方が先だからだ。そもそもガ○ダムガ○ダムと言ってる連中ははなからバカにしてヤマト復活編など見てない」
「ということは?」
「ガ○ダムの世界は自壊し始めているのじゃないだろうか。つまり、おまえは既に死んでいる」
「それもネタが古いよ」
「あたた」
「ひでぶ。しかし、そういう風に理解していない人も多いのでは?」
「まだ死んでおらず、新作で稼げるとか、ファン活動できると思っている人も多いだろうね」
「それじゃ、死亡宣告しても意味はないのでは?」
「いいや。その点は誤解してもらっては困るな」
「どういう意味?」
「私は、相手を見て未来があるか、それとも手遅れかを見るだけだ」
「つまり?」
「誰がどう思うかに関係なく、もはや縮小再生産プロセスに手遅れの段階まで踏み込んでしまったのだろう」
「ええ!?」
「つまり、当事者がどう思おうと私が何を言おうと、ビジネスの規模が危機的な縮小方向にあるということだ」
「ええ!?」
「考えてもみてごらんよ。新しいRGシリーズでより精密なガ○ダムが発売されましたと言って、買いたくなるかい?」
「うーん。なんか部屋にもまだ組んでないガンダムの箱がいくつかあるしなあ」
「組んだら見えなくなる中身まで再現された精密キットより、モナカの方がいい。それも動かない奴」
「もっといえば、普通のスケールモデルの方がずっといい、とすら言える?」
「うん。どう考えても模型を作る時間があればSWEETの零戦52型丙を組むさ。でなければシャーマンかワイルドキャット。でも、それは横に置くとして」
「じゃあ横に置こう」
「あくまでキャラクターモデルの話に絞ろう」
「そもそも、かっこいいポーズを作り込むなら、可動にはあまり意味がない」
「というか、部屋にはVer1のMG Zガンダムの箱がある。未組み立てだ。Ver2は買ってない」
「なぜ?」
「結局、Ver1の段階で既に気楽な娯楽とは言えないパーツ数なのに、なぜもっと精密なVer2にも手を出す必要がある?」
「うーん」
「つまりだな。冗談ではなく、ガ○ダムはもう終わってるんだろう」
「それでガ○ダムで何を語りたいの?」
「いや、もうガ○ダムには語るべきことは無い。まあ一応はね」
「一応ってのは?」
「ガンダムが最初に出た頃のタミヤMMとの思想的関連性とかね。多少話題は無いこともないが、まあ今時の若いオタクに理解できる話じゃないだろう」
「興味も無さそうだ」
「ドイツ軍兵士を改造して山口百恵を作ると言っても1から10まで理解不能だろう」
「そりゃもう、赤いって言われた時点でシャアだろうしね」
「赤いといえば、山口百恵ってのも、今や昔か」
「じゃ、実質的に語ることはもう無いとして、それにも関わらず今は何を語ってるの?」
「自分の視点の変化だよ」
「どういうこと?」
「これまで見えにくかったものが、徐々に見え始めた感じがある」
「いつから?」
「ターニングポイントはおそらくヤマト復活編だ」
「え!?」
「ヤマトが復活しちゃったとき、やっぱり巨大なロボが出てくるアニメは巨大なロボが出てくるだけで食い足りないね、ということが見えてしまったしね」
「ガ○ダムがいくら増えても、スカートめくりもしてくれないし」
「うん、酒の相手にもなってくれない」
「酔ってもくれないし」
「やはりヤマト復活がターニングポイントだ」
オマケ §
「でもさ、ロボってアバターにも出てくるし、世界的に典型的なんじゃないかな?」
「うん。人間が乗り込んで操縦するロボは、エイリアン2にも出てくるしね。洋画にも典型的に出てくる」
「そうだよね」
「でもさ。日本のロボとは決定的に違うんだよ」
「何が?」
「洋画のロボは、エイリアン2もアバターもそうだけど操縦者の人間が見えるデザインが多い気がする」
「つまり?」
「ロボを操縦して戦ってるのは人間なんだ」
「じゃ日本は?」
「操縦者が見えなくなってロボに同化しちゃう」
「どういう意味?」
「ガ○ダムを見て見ろ。コアファイターの時は外から見える操縦者が、合体すると見えなくなってしまう」
「そうだね。操縦者が戦闘機や車に乗っているときは見えるのに、合体すると見えないパターンが多いのかも」
「つまり、合体してロボになった瞬間、操縦者がロボそのものになってしまうのだ」
「そうかもね」
「それって凄くガキ臭くないか?」
「え?」
「鉄人28号はあくまで操縦者は外部にいる。マジンガーZはあくまで頭頂部にパイルダーオンするだけで、操縦者は弱点として見え続ける」
「するとすでにゲッターではもう」
「ゲッターではもう操縦者が見えなくなる」
「なぜだろう?」
「3人で乗っているのに、1つの意識があるように動くから、操縦者を見えるように描いてはまずいのだろう」
「それで結論はなんだい?」
「安易なアニメの総決算の時期が近いのかも知れない。その知らせをもたらすのはヤマトだ」
「ヤマトか!」
「事実として、1970年代に降臨したヤマトはアニメの常識を書き換えた。そして、またそれを書き換えてくれるかも知れない」
「それだけのパワーがまだあるかね?」
「厳密に言えば、ヤマトは使者でしかない。パワーの有無はあまり関係ない。1970年代の時点でも、やはりヤマト以外に優れた作品は存在していた。カリメロもビッケも同時代の作品だし、裏番組も爆発的に革新的だったハイジだ」
「つまりどういうこと?」
「時代の変化は起こるべくして起こったものであり、本当はヤマトの有無はそれほど重要ではないが、ヤマトは象徴としてやってきたということだ。実際、銀魂の放送が終わり、ケロロ軍曹の放送時間が15分になり、どちらも傑作選的な再放送が始まるようだ。数年前なら考えられない事態だ」
「つまり?」
「ヤマトを世間がいくら黙殺しようとしても、結局変化は起こるということさ」
「それでガンダム00の映画は見るの?」
「さあ。それは分からんよ。もともと、それほど区別はしないでフィーリングで見る映画を決めているから、見ないとも言い切れない」
「じゃあ、実写版ヤマトは?」
「おそらく万難を排して見るだろう。ヤマトファンだしね」